「賃貸仲介に疲れた」あなたへ|不動産営業の転職は「売買」か「管理(PM)」か?現役店長が教える30代からの最強ルート

「賃貸仲介、そろそろ限界かもしれない」「賃貸仲介の仕事に飽きてきた」そう感じているなら、この記事はあなたのために書きました。土日は必ず仕事、体力は削られる一方、でもキャリアは一向に上に進まない。そんな「賃貸仲介あるある」に疲れた30代の方へ、次の一手を具体的にお伝えします。

選択肢は大きく二つ。高単価・高歩合を狙う「売買営業」か、オーナーとの信頼を武器にする「PM(プロパティマネジメント)」か。

この記事では、不動産会社の現役店長として三つのフィールドを渡り歩いてきた私が、どちらのルートが自分に向いているかを判断するための材料を、包み隠さず解説します。


目次

賃貸仲介は営業スキルを磨くには絶好の職場。しかし、なぜ30代で「限界」を感じるのか?

賃貸仲介という仕事を、私はいまでも心から尊敬しています。

初回接客から内見、条件交渉、契約までのすべてをワンオペで回すあの現場対応力は、どんなビジネス書を読んでも身につきません。顧客の要望を瞬時に読み取り、頭の中で現在の空室照会をして、最短距離で成約に持ち込む「瞬発力」は、賃貸仲介でしか磨けないものです。

では、なぜ30代を前に「限界」を感じる人が後を絶たないのか。

理由は明確で、賃貸仲介業によくある「ポジションを手にしにくい構造」にあります。

仲介の現場では毎年、新卒・若手がどんどん入れ替わります。しかし、店長やエリアマネージャーといった「ポジション」は、一度座った人間がなかなか立ちません。その椅子を待つ数年間、あなたは何を失っているか——「若さ」と「家族との時間」です。

30代後半、40代になっても、毎週末に案内車を運転している自分を想像できますか? 子どもの行事に出られず、家族から「パパ、次はいつ休み?」と聞かれる日々に、終わりは見えていますか?

さらに、ブラックな総合不動産会社では「玉突き人事」も日常茶飯事。欠員が出た部署に、会社の都合で駒のように動かされる。自分では売買を志望していたのに、気づいたら管理部門の穴埋め要員……という話は、この業界では珍しくもありません。

玉突き人事という名の、都合のいい穴埋め。キャリアアップやジョブチェンジと称していますが、会社はあなたを「プロ」としてではなく、「空いた穴に差し込むパーツ」としてしか見ていないのかもしれません。

店長の独り言

賃貸仲介の「店長の椅子」は、一度座ると誰も立ちません(笑)。上が詰まった環境で椅子を待つ間に、最大の武器である「若さ」と「家族との時間」が削られていく。総合不動産を謳う会社では、欠員が出た部署へ駒のように動かされる「玉突き人事」も日常茶飯事。自分のキャリアを会社都合の「穴埋め」で終わらせないために、30代を目前にした今、現実を直視すべきです。」

土日確定出勤、育児との両立の難しさ、体力の限界。これらは「あなたの根性が足りない」のではなく、ライフステージと職種の相性の問題です。疲れたと感じたなら、それはキャリアを考え直す正当なサインです。


【王道の売買】稼ぎたいと休みたいを両立させたい人におすすめ

賃貸仲介から転職先として最初に浮かぶのが、不動産売買の営業職でしょう。

結論から言えば、「稼ぐ欲求が睡眠欲求を上回るなら」、売買は最高の舞台です。

賃貸と売買の最大の違いは「単価」。一件の仲介手数料が数十万〜数百万になる世界では、月に2〜3件決めるだけで年収1000万が現実的な目標になります。賃貸時代に数をこなして鍛えた接客スキルは、この世界でも強力な武器になります。

ただし、覚悟も相応に必要です。

売買では、一人の顧客のために物件調査・法務確認・住宅ローン調整・関係者との調整を孤独にこなし続けます。そして最大の山場が重要事項説明と売買契約書への署名捺印です。数千万円の取引を前に、一文字のミスが損害賠償につながるリスクを背負いながらハンコを押す、あの瞬間の重さは賃貸とは次元が違います。

📢 店長の独り言

売買の重説は「作業」ではなく「覚悟」です。一文字のミスで数千万円の損害賠償が頭をよぎる。あのハンコを押す瞬間の指先の震えを知って初めて、本当の意味でのプロになれます。稼ぎたい欲が睡眠時間を上回るなら売買は最高の舞台。

そして、あまり知られていない事実ですが、決済は銀行が営業していることが前提になりますので「平日の午前中」が基本です。そのため、アポがなければ土日は出勤する必要もありません。

さらに言えば、土日が休みの売買仲介会社も少なくありません。賃貸仲介時代には考えられなかった「家族との時間」が週末に生まれることもあるんです。

「土日こそが書き入れ時」という賃貸仲介の感覚を持っている方には、この事実は驚きかもしれません。売買のスケジュールは、決済という銀行営業日に縛られる分、コントロールできる余白が意外と大きいのです。


【逆転のPM】安定とキャリアアップを実現したい人におすすめ

「管理(PM)への転職は、営業としての敗北では?」

そう感じる方に、はっきり伝えます。それは完全な誤解です。

プロパティマネジメント(PM)は「守り」の仕事ではなく、最も戦略的な攻めのキャリアです。

その理由は一つ。PMは家主(オーナー)の「懐」に最も近い仕事だからです。

日常的な修繕対応、入居者トラブルの調整、収支報告。地道に信頼を積み上げたPM担当者には、オーナーから「実は物件を売りたいんだけど」「新しく買い足したいんだが、どう思う?」という相談が自然に集まります。これが「特注案件」です。

反響を必死に追いかけなくても、信頼という貯金が案件を引き寄せてくる。これがPMの本質です。

📢 店長の独り言(レジェンド実績)

「管理は人につく」——これが私の信念です。引き抜きで今の会社に入ったとき、私を信じてついてきてくれた元部下が3年間で6名。さらに、家主様との信頼関係から、約200室の管理も移管していただきました。驚くのはここからです。

管理を通じて収益相談を受けた結果、PM業務の傍らで計上した売買仲介手数料は、当年度だけで約1,500万円。必死に反響を追いかけなくても、信頼を貯金していれば売買案件は「特注」として向こうからやってくる。これが私の確信する、究極の勝ちパターンです。」

PM×売買のハイブリッドモデルは、「稼ぎたいが、体力と時間も守りたい」30代にとって最も現実的な最強ルートだと私は考えています。


失敗しない「不動産会社」の選び方|ブラック企業には気を付けよう

転職先を間違えると、賃貸仲介より過酷な環境に放り込まれることがあります。特に注意が必要なのが、「穴埋め型」の会社です。

典型的なパターンはこうです。新卒・若手を仲介部門で大量採用し、退職者が出た管理部門の穴を「社内異動」で埋めていく。管理未経験のまま現場に放り込まれた社員は、知識もなくクレーム処理に明け暮れ、また辞めていく。この悪循環が常態化している会社が、残念ながら一定数存在します。

では、どう見分けるか。面接でこの2点を必ず確認してください。

①担当者一人あたりの管理戸数
一般的に、PMの健全な担当戸数は500〜1,000室程度が目安です。1,000室を大きく超えているなら、現場が回っていない可能性が高いため、見送った方がよいでしょう。

②現場リーダーが管理出身かどうか
営業出身のマネージャーがPM現場を管理している組織にも注意が必要です。なぜなら、現場のことをまったく理解していないにも関わらず、数字を追い求めるあまり無理な指示を出していることがあるからです。そのため、入社後の自分の上司がどのようなキャリアを経ているかは確認しておくべきです。

📢 店長の独り言

仲介で新卒を大量採用し、人が辞めた管理部門へ強引に人を移動させる会社は、十中八九、現場が炎上しています。管理を知らない人間がクレーム処理に明け暮れて辞めていく……そんなループから身を守るには、面接で「一人あたりの担当戸数」と「リーダーが現場出身か」を必ず確認してください。正しい職場を選べば、PMは最高に知的で自由な仕事になります。

また、家主や投資家をPM業務を介してグリップしている、というのは不動産業界において最強の武器です。将来の転職や独立に大きなアドバンテージになることは間違いありませんので、今後の不動産人生にも大きな影響を及ぼすでしょう。

転職は「会社の名前」ではなく「現場の構造」で選ぶ。これが、失敗しない不動産転職の鉄則です。


5. まとめ:不動産業界を「嫌い」になる前に、土俵を変えよう

賃貸仲介で身につけたスキルは、不動産業界において「SSR級」の希少資産です。

瞬発力、交渉力、顧客の感情を読む力——これらはどの土俵に移っても通用します。問題があるとすれば、それはスキルではなく土俵の選択です。

  • 年収とスリルを追うなら → 売買営業
  • 信頼を資産に変えて長く稼ぐなら → PM(管理)

疲弊して業界ごと嫌いになる前に、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。あなたが今感じている「限界」は、ゴールではなく次のステージへのスタートラインかもしれません。


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