賃貸のモニター付きインターホンとは?種類・機能・自費設置の注意点を不動産店長が解説

賃貸物件を探すとき、「モニター付きインターホン」の有無を確認する方が増えています。来訪者の顔を確認してからドアを開けられる安心感は、特に一人暮らしの女性にとって重要な防犯設備です。

ただ、モニター付きインターホンについて「そもそも種類の違いが分からない」「自分で設置できるのか」「故障したら費用はどうなるのか」という疑問を持ったまま入居している方も多いのではないでしょうか。

私は不動産会社の店長として20年以上、数多くの物件案内と退去立会いを経験してきました。この記事では、モニター付きインターホンの基本知識から、現場でしか見えない確認ポイントまでお伝えします。


この記事でわかること

  • 有線式と無線式の違いと主な機能
  • オートロックとの関係——現代の賃貸物件の実態
  • 内見時に必ず確認すべきポイント(広角レンズの重要な理由)
  • 自費設置したいときの交渉方法と退去時の扱い
  • 故障したときの費用負担の考え方

目次

モニター付きインターホンの種類と主な機能

モニター付きインターホンとは、来訪者がボタンを押したときに室内のモニターで相手の顔や様子を確認しながら応答できる設備です。ドアを開ける前に相手を確認できるため、宅配業者を装った不審者対策や、一人暮らしの防犯において重要な役割を果たします。

種類と機能を正しく理解しておくことで、お部屋探しの際に何を確認すればいいかが明確になるので、まずはモニター付きインターホンの基本的な内容を押さえておきましょう。

有線式と無線式の違い

有線式は既存の配線を使って親機(室内モニター)と子機(玄関カメラ)をつなぐタイプです。配線工事が必要になりますが、通信が安定しており画質や音声の品質が高い傾向があります。マンションや集合住宅に最初から設置されているインターホンはほとんどがこのタイプです。

無線式は配線工事が不要で、電池や電源コンセントで動作するタイプです。工事なしで設置できるため、入居者が自費で後付けする場合に向いています。ただし電波の届く範囲や障害物によって通信が不安定になるケースがあります。

モニター付きインターホンの主な機能

録画機能は来訪者の映像を自動で保存する機能です。不在時の来訪記録が残るため、後から確認できます。

広角レンズは玄関前の広い範囲を映す機能で、カメラの正面だけでなく斜め方向からの来訪者も映せます。この機能の重要性については後述します。

夜間カラー撮影は暗い時間帯でも来訪者の顔をカラーで確認できる機能です。夜間に白黒になる機種との差は大きく、実用性に影響します。

スマホ連動機能は外出中でもスマートフォンに来訪通知が届き、応答できる機能です。宅配の再配達を減らせるメリットがあります。


現場で見えてくる「本当に確認すべき点」

モニター付きインターホンは「付いている」だけでは意味がなく、「ちゃんと使えるかどうか」が重要です。現場で物件を見続けてきた立場から言えば、モニターが付いているのに実用に耐えない状態の物件は決して珍しくありません。内見時に必ず確認してほしいポイントを整理します。

画質・音声が使えるレベルかを内見時に確認する

画質が悪くて来訪者の顔がほとんど見えない、音声がこもって何を言っているか聞き取れない。こうした状態のインターホンは現場では珍しくありません。

設置から年数が経った物件では、カメラの解像度が現在の基準からすると明らかに低いケースがあります。また、逆光の影響で昼間でも顔が暗くて判別できない設置環境の物件も存在します。

内見時には実際にボタンを押して映像と音声を確認してください。「モニター付き」という表記だけを信じず、自分の目で動作を確認することが唯一の方法です。

画質や音声に問題がある場合は管理会社に連絡することで交換してもらえます。設備の不具合として対応してもらえるケースがほとんどです。

広角レンズかどうかを確認する理由

広角レンズの有無は、防犯上の大きな差につながります。

標準レンズのインターホンは、玄関ドアの正面しか映りません。悪意のある来訪者がカメラの死角になる斜め方向に立ってボタンを押すと、モニターには人物が映らないまま音声だけが聞こえるという状態になります。こうした「カメラから外れた場所で待ち構える」手口への対策として、広角レンズは実用的な意味を持ちます。

内見時にモニターのカメラ範囲を確認しておいてください。玄関の両脇まで映るかどうかが判断の基準になります。

オートロックとの関係——現代の実態

「オートロックとモニター付きインターホンはセットで考える」とよく言われますが、現在の賃貸市場では、オートロックがあればほぼモニター付きインターホンも付いています。

かつてはオートロックのみで、インターホンは音声だけというパターンもありました。しかし現在は新築物件はもちろん、既存物件でも交換が進んでいます。オートロックの操作盤にカメラがついているかどうかをエントランスで確認するだけで、モニター付きかどうかはすぐにわかります。

一点注意が必要なのは、オートロックの操作盤にはカメラがあっても、各部屋の玄関前の子機にカメラがないケースがまれにあることです。オートロックを通過した後の玄関先は映らないという状態で、これは内見時に実際に確認しないと気づきにくいポイントです。

店長の独り言

「モニター付きインターホンを重視するのであれば、オートロックと玄関先、両方の画像が映るかどうかを必ずチェックしてください。

両方映るだろう、という安直な思い込みは、非常に危険です。」


自費設置したいときの交渉方法と退去時の扱い

モニター付きインターホンがない物件に入居した場合や、既存のものを性能の良いものに変えたい場合、自費で設置したいと考えることがあります。管理会社への相談は必要ですが、タイプによって扱いが大きく変わります。無線式と有線式では許可の取りやすさも退去時の原状回復の判断も異なるため、設置前に必ず管理会社に確認した上で進めることが大切です。交渉の仕方を知っておくだけで、スムーズに話が進みます。

無線式は比較的許可されやすい

配線工事が不要な無線式の場合、設置に伴う痕跡は両面テープの剥離痕程度です。退去時の原状回復の負担が軽く、管理会社・オーナー側としても許可しやすい内容です。

「設置してもよいか」と管理会社に確認を取った上で進めてください。多くの場合、無線式であれば大きな問題なく話が進みます。

有線式は合意書の内容に注意する

既存の配線を活用して有線式を設置するタイプは、工事を伴うため管理会社の許可が必要です。退去時の原状回復についても事前に取り決めが必要になります。

実務的な扱いとしては、設置時に合意書を交わし「退去時には原状回復が必要」とした上で、退去時に実際に「使える状態で残置する場合は原状回復不要」という余白を持たせることがあります。つまり、次の入居者が使える状態であれば、そのまま置いていくことを認めるという処理です。

設置前に管理会社と合意書を交わし、退去時の扱いについて書面で確認しておくことが最善です。口頭だけの取り決めは後になってトラブルになることがあります。


店長の独り言

「管理会社の本音で言えば、入居者の費用負担で設備がバリューアップするのであれば、喜んで承諾したいところです。家主でも同様であり、よほどすべての部屋で設備を統一しておかないと気が済まない、という一風変わった人以外は、ほぼOKしてもらえるでしょう。」

故障したときの費用負担

モニター付きインターホンが突然映らなくなった、音声が出なくなったという場合、まず管理会社に連絡してください。

通常使用の範囲で生じた故障は貸主負担が原則です。入居者が物理的にインターホンを壊したわけでなければ、修繕費用を入居者に請求されることはまずありません。現場でも入居者に故障の費用を請求した事例はほとんどないというのが実態です。

自分で修理業者を手配することはしないでください。管理会社を通さずに費用を支払ってしまうと、後から請求できなくなるリスクがあります。

設備故障の連絡先と対応の流れはこちらで解説しています。 → 賃貸で設備が故障したらどこに連絡する?


まとめ:「モニター付き」の表記だけで安心しない

モニター付きインターホンは現代の賃貸物件においてほぼ標準的な設備になっています。オートロックと一体化しているケースが多く、物件探しの段階では「操作盤にカメラがあるか」を確認するだけで判断できます。

ただし「付いている」ことと「使える」ことは別です。内見時に実際に操作して画質・音声・映る範囲を確認すること、広角レンズかどうかを確認することが実用上重要です。

自費設置を検討する場合は無線式なら比較的許可されやすく、有線式は合意書の内容を書面で確認することが原則です。故障した場合は自己判断で業者を呼ばず、まず管理会社に連絡してください。

内見全体のチェックポイントはこちらでまとめています。 → 賃貸の内見チェックリスト|現役店長が教える確認すべき32のポイント

あわせて読みたい記事

この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

  • URLをコピーしました!
目次