賃貸のカウンターキッチンは本当に使いやすいのか?現役店長が「開放感の正体」と収納・においの現実を本音で解説

「カウンターキッチン付き」の物件を見ると、それだけで一段おしゃれに見える、という方は多いと思います。料理しながら家族と話せて、配膳も楽で、LDKが広く見渡せる。そういうイメージで検討されている方がほとんどではないでしょうか。

ただ、カウンターキッチンは「なぜ自分がそれを選びたいのか」を明確にしないまま決めると、入居後に「思っていたのと違う」という感覚が生まれやすい設備です。

この記事では、メリットはきちんとお伝えしながら、収納の詰まり方・においの広がり方・退去費用のリスクまで、現場の実態をもとに全部解説します。ぜひ最後までお読みください。


目次

カウンターキッチンの種類と「賃貸での現実」

まカウンターキッチンとは、キッチンとダイニング・リビングの間にカウンターを設けた対面式のキッチンのことです。

大きく分けると、腰壁や仕切りのないフルオープン型と、コンロ前に壁や腰壁があるセミオープン型の2種類があります。さらに形状別では、キッチンが壁の片側に接しているペニンシュラ型と、四方が通路になっているアイランド型があります。

賃貸物件で見かけるカウンターキッチンは、ほぼ「立ち上がりカウンター」です。カウンター天板の高さがキッチン側とダイニング側で異なり、ダイニング側に10〜15cm程度の腰壁が立ち上がっているタイプのことです。

インテリア雑誌やSNSでよく見るフラットカウンター(天板がフルフラットで段差がないタイプ)は、高グレードの分譲賃貸やアイランドキッチン付き物件などに限られます。

なぜこの違いが重要かというと、立ち上がりカウンターは腰壁があることでシンク側の手元を隠せます。洗い物を少し溜めていても来客時に見えにくい、というメリットがあります。

一方、フラット型はおしゃれで開放感がありますが、シンクも作業台もLDKから丸見えになります。洗い物を少し溜めた状態でリビングに人を通すと、キッチン全体の生活感がそのまま目に入ります。

言ってしまえば、「カウンターキッチンでおしゃれな暮らしを」というイメージには、「常に片付いたキッチンを維持する」という強い気持ちが必要なのです。

アイランドキッチンについては、新築物件でこのタイプが付いていると内見前に全戸埋まるほどの人気があります。それだけ「見た目」に対する需要が高い設備ですが、人気の高さは同時に家賃プレミアムにも反映されています。

店長の独り言

「カウンターキッチンの中でも、アイランドキッチンの人気は別格です。

ある新築マンションのプロデュースをしたことがあるのですが、アイランドキッチンのタイプが圧倒的な人気を誇り、あっという間に満室となりました。

これを考えると、やはり生活感とか、使い勝手とか、色々なことを考えてしまうのですが、やっぱり『見た目』が与える影響って大きいんだな、と改めて感じますね。」


カウンターキッチンのメリット──素直に認める部分

カウンターキッチンのメリットはたくさんあります。少し一般論ばかりになってしまいますが、まずはカウンターキッチンのメリットを整理しておきましょう。

まずは、リビングを見渡せるその視認性がファミリー世帯に人気です。料理をしながらリビング・ダイニングに目が届くため、小さな子どもの様子を見守りながら家事ができます。子どもの安全確認という明確なニーズがある方には、壁付きキッチンとの差が実感しやすい設備です。

また、現代風のLDKにおけるライフスタイルに適している、という点も見逃せません。テレビを見ながら料理したい、パートナーと会話しながら食事の準備をしたい、などが主なニーズでしょう。

利便性の観点で言えば、配膳・後片付けの動線が短くなる点も、実用的なメリットの一つです。

最後のメリットは「なんだかよくわからないけどおしゃれそうだから」という、感覚的な優位性です。これは悪いことでもなんでもなく、上述のとおり、やっぱり見た目とかおしゃれそうとか、そういった感覚的な部分はお部屋探しで重要なポイントであるがゆえに、メリットと言って差し支えないでしょう。

ただし「なんとなくおしゃれだから」という理由だけで選ぶと、次のセクションで述べる現実と折り合いがつきにくくなります。


賃貸でカウンターキッチンを選ぶときの「4つの現実」

① 「広く見える」が、家具を入れると壁が足りなくなる

カウンターキッチンはLDKに開放感をもたらしますが、その代わりに「壁」を消費します。対面キッチンを設置すると、キッチンと平行して背面にカップボード(水屋)・冷蔵庫・レンジ台を配置するためのスペースが必要になります。

この背面収納エリアが想定より面積を食うケースが多く、内見時に「広いな」と感じたLDKが、家具を入れると途端に狭くなります。

特に詰まりやすいのはカップボードと冷蔵庫の組み合わせです。最近は冷凍庫を別途お持ちの方も増えており、冷蔵庫・冷凍庫・カップボードが横並びになると、キッチン内の通路幅が確保しにくくなります。内見時に背面のスペースを実際に測っておくと、選べる架電がクリアになるため、押さえておきたいポイントの一つです。

さらに見落とされがちなのが「壁面の減少」による影響です。カウンターキッチンがリビング側に張り出す分、テレビを設置できる壁面が減ります。ソファを置いてテレビに向かう、という定番のレイアウトが取りにくくなり、テレビを窓を背にして置くしかない、という状況になることもあります。内見時は「どこにテレビを置くか」「ソファをどの向きに置くか」まで想定してから判断してください。

もう一点、「カウンターで朝食を食べればダイニングテーブルを置かなくて済む」と考える方もいます。それ自体は間違っていませんが、賃貸の立ち上がりカウンターは高さも少し高くなるほか、奥行きも十分ではないことがあります。

② においと油の広がりは、キッチンの仕様次第で全く変わる

カウンターキッチンのデメリットとして「においが広がる」という点はよく言われますが、これはキッチンの仕様によって体感が大きく変わります。一律に「カウンターキッチンはにおいが広がりやすい」と判断するのは早計です。

まず確認すべきはコンロ前の仕様です。コンロの前に透明のオイルガードが設置されている場合は、開放感を保ちながら油煙の一部を遮断できます。コンロ前が壁になっているセミオープン型であれば、においがLDK側に広がりにくくなりますが、その分、閉塞感が増します。どちらが良いかは「開放感・見た目」を優先するか「機能性・においの遮断」を優先するかによって答えが変わります。

次に確認すべきはシンク側上部の吊り収納の有無です。シンク側に吊り戸棚があると、においの横への広がりを物理的に遮断できます。ただしその分、LDKの開放感は落ちます。吊り収納がなくオープンなタイプほど、においが部屋全体に回りやすくなります。「おしゃれなカウンターキッチン」ほどオープンな設計になっていることが多いため、においへの耐性と相談しながら選ぶ必要があります。

あと忘れがちなのが、水はね問題です。フラット型のカウンターキッチンでは、洗い物中にシンク周りの水がカウンター天板を越えてダイニング側に飛ぶことがあります。カウンターにスマートフォンや書類を置いていると、気づかないうちに濡れていた、というのはよくある話です。

立ち上がりカウンターであれば腰壁が水はねをある程度防ぎますが、フラット型ではこまめに拭いておかないと、跡が残り、最悪のケースでは退去時にトラブルに発展することも考えられます。

③ 出隅・カウンター天板の傷は退去費用の対象になる

カウンターキッチンがある物件の退去立会いで気をつけてほしいのが、出隅(カウンターの角部分)への傷カウンター天板のダメージです。

出隅は椅子をぶつけたり、荷物の出し入れで当たったりしやすい場所です。傷がついた場合は借主負担が基本です。ただし、出隅の補修は角に樹脂製の保護材を接着する程度のことが多く、費用は比較的安価に収まるケースがほとんどです。カウンター下部の腰壁がクロス仕上げの場合も同様に、部分的な張り替えで済むことが多いです。

一方、カウンター天板のダメージは話が別です。素材にもよりますが、熱い鍋をそのまま置いた際の焦げ跡・水を長時間放置した際のふやけ・輪染みなどが発生した場合、天板の補修や交換が必要になることがあります。出隅のクロス補修とは費用の桁が変わるケースもありますので、天板には鍋敷きを使う・水分はすぐに拭き取るという習慣を入居当初から徹底してください。

退去費用全般の考え方については退去費用の全体解説、請求書の確認方法は退去費用請求書チェックポイントを参考にしてください。

④ カウンターの「用途」が決まっていないと物置になる

カウンターキッチンのカウンター部分は、使い方を決めておかないと気づいたらあっという間に物置になっています。「とりあえず置く」が習慣化すると、郵便物・スマートフォン・調味料・子どもの荷物が積み重なり、内見時に「おしゃれだな」と感じたカウンターが見る影もなくなります。

カウンターを作業台として使いたい場合は、コンセントの有無を内見時に確認してください。カウンター付近にコンセントがない場合、延長コードを床に這わせることになり、せっかくの見た目を損ないます。カウンターで作業や勉強をするつもりなら、コンセント位置は見落とせないポイントです。

また、キッチン内部にカウンターがあると、熱がこもりやすいキッチンで扇風機やサーキュレーターを回すこともできるため、便利です。スマホでレシピを見ながらの料理も、充電を気にする必要はありません。カウンターを有効活用している家庭ほど、実は「コンセントの数と位置」に助けられていることが多いです。

配膳スペースとして使う・子どもの勉強スペースにする・軽食を取る場所にする、など用途を入居前にある程度決めておくことで、カウンターが機能するかどうかが大きく変わります。何にでも使えるスペースは、何にも使われなくなるリスクを常に抱えています。


内見で確認すべき3つのポイント

カウンターキッチン付き物件の内見では、見た目の印象だけで判断せず、以下の3点を必ず確認してください。内見全体のチェックポイントも合わせて参考にしてみてください。

1. カウンターの形状・高さ・コンセントの有無を確認する 立ち上がり型かフラット型か、カウンターの高さ(ハイチェアが必要かどうか)、カウンター付近のコンセント位置を確認してください。フラット型の場合は水はね・生活感の見え方も念頭に置いてください。

2. コンロ前の仕様とシンク側の吊り収納を確認する オイルガード有無・コンロ前が壁型かどうか・シンク側上部に吊り収納があるかどうかを確認します。においへの対策がどの程度取られているかが、この3点で概ね判断できます。

3. 背面収納スペースとリビング側の壁面を実測する カップボード・冷蔵庫を置いた後の通路幅、テレビを置ける壁面が確保できるかどうかを確認します。図面の畳数だけで判断せず、実際の家具配置をシミュレーションしてから判断してください。詳しくは重要事項説明の確認ポイントも参考にしてください。


カウンターキッチン付き賃貸に向いている人・向いていない人

向いている人

子どもの安全を見守りながら料理したいファミリー世帯、テレビを見ながら料理したい方、配膳・後片付けの動線を重視する共働き世帯には、カウンターキッチンのメリットが実感しやすいです。においへの耐性があり、「常に片付いたキッチンを維持できる」自信がある方にも向いています。

キッチン周りの設備全般についてはビルトイン食洗機の解説IHコンロの解説も合わせて参考にしてください。

向いていない人

揚げ物・炒め物が多く、においや油煙の広がりが気になる方には向いていません。ソファとテレビの配置にこだわりがある方、インテリアの自由度を優先したい方も、壁面が減ることで制約を感じやすいです。単身でキッチンに割ける面積を最小化したい方は、独立型キッチンの方がLDKを広く使えるケースがあります。

カウンターキッチンに付随することが多いウォークインクローゼットの収納問題と合わせて、間取り全体で収納と生活動線を判断することをおすすめします。


カウンターキッチンは「ある」だけで価値があるわけではありません。カウンターの形状・においの仕様・背面収納スペースの3点を内見時に確認し、「なぜカウンターキッチンが必要なのか」という自分のニーズと照らし合わせてから判断すると良いでしょう。

ただ、やっぱりカウンターキッチンはおしゃれです。それを言ってしまっても差し支えないくらい、現在ではカウンターキッチンが市民権を得てしまっています。その意味では、望んでいないけど希望の条件に合う部屋がたまたまカウンターキッチンだった、ということもあるでしょう。

そのときに失敗しないためにも、この記事でご紹介した内容をぜひお部屋探しの参考にされてください。

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