
「外国人可の物件を探しているが、なかなか見つからない」という方と、「外国人に貸しても大丈夫か不安だ」というオーナーや管理会社、両方のために書いています。
どちらの立場からも、現場を知らない「表面上の記事」では、なかなか解決に至らず、この記事にたどり着いた人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
不動産業界で20年近く現場を歩いてきた立場から、外国人の入居審査の実態・実際に起きたトラブルの本質・そしてどうすれば貸す側も借りる側も安心できるかを、包み隠さず解説します。
ぜひ、貸す人も借りる人も、最後までお読みください。
「外国人可」という表記が意味すること
ポータルサイトで「外国人可」という条件があります。これは「外国人の入居を受け付けている物件」という意味ですが、実態はもう少し複雑です。法律上、外国人であることだけを理由に入居を拒否することはできませんが、現実として「外国人可」と明記していない物件の多くは、外国人の入居審査に慎重なオーナーや管理会社が多いです。
ただし「外国人可」と書いていない物件でも、条件次第で受け入れてもらえるケースがあります。最も有効な交渉材料は2つです。日常会話レベルの日本語が話せること、そして日本人の緊急連絡先または連帯保証人を用意できることです。
この2点が揃っていれば、「外国人可」表記のない物件でも交渉する価値があります。「外国人可」という条件で絞り込むと選択肢が大幅に狭まりますので、この視点は物件探しの戦略として持っておいてください。
審査で本当に重視されること──「誰が住むか」が全て
審査において外国人だから特別に厳しいというより、「申告通りの人数が住むのかどうか」が最大の焦点です。ここが、外国人入居審査の本質です。
外国語学校・技能実習・特定技能などで来日している方の中に、2DKの部屋に5〜6人が詰め込まれるというパターンがあります。なぜこうした状況が生まれるのかというと、日本語学校や職業訓練施設の寮が慢性的に不足していること、そして来日したばかりの外国人が同国出身のネットワークを頼って助け合う文化があること、という背景があります。
悪意があってやっているというより、それが彼らにとって自然な生活の仕方であるという文化的な側面からくるケースも多いです。
しかし管理会社の立場からすると、申告外の人間が住んでいると発覚した時点で、契約違反の問題が生じます。人数が増えるほど騒音・ゴミ・共用部の使い方をめぐるトラブルの火種も増えます。外国人入居の審査が慎重になるのは、こうした構造的な問題があるからです。
審査の判断材料として、在留資格・在留期間・勤務先(日系企業かどうか)・日本語能力・入居人数の申告が確認されます。法人(雇用企業・日本語学校)が契約者になる場合は、個人契約より審査が通りやすいことが多いです。オーナーにとって「誰に対して請求できるか」「何かあったら誰が対応してくれるか」が明確になるからです。
店長の独り言
「借りる側に立つときも、貸す側に立つときも、どっちの立場で対応するにしても、なによりほしいのは正しい情報です。それに勝るものはありません。
何よりも、外国人の入居となれば構えてしまう人が多いのは事実。それを解きほぐすためには、安心してもらう必要があるため、やはり情報が欲しい、というのが本音です。」
実際に多いトラブルの実態──文化の衝突という本質
外国人入居のトラブルとして最も多いのは、「誰だこの人は」というくらい申告外の人間が住んでいるケースです。これは先ほど説明した詰め込み問題と表裏一体です。
文化の違いによるトラブルで印象に残っているのは、駐車場で豚の丸焼きをされたことです。その方の国では大切なお祝いの儀式だったのだと思います。しかし日本の住宅密集地の駐車場でそれをやると、火の扱い・煙・においをめぐって「事件」になります。どちらが悪いという話ではなく、「当たり前」の基準が全く違うということです。
アジア系の方が多く使うスパイスの匂いも、近隣からの苦情に発展するケースがあります。その方の家庭では毎日の料理に使う当然の食材が、慣れていない日本人入居者には「異臭」に感じられる場合があります。
この認識のズレを入居前に埋める仕組みが整っていないと、門前払いという結果になります。外国人専用保証会社や多言語対応の入居ガイドラインが普及してきたのは、こうした摩擦を減らすためです。「外国人に貸さない」という選択より「ルールを正しく伝える仕組みを整える」という方向に業界全体が動いています。
その他のトラブルとしては、ゴミの分別ルールを守れないケース(国によってはゴミを分別する習慣がない)、土足で室内に入って床を傷つけるケース、無断で同居人を増やすケースが続きます。国土交通省は多言語対応(14言語)の入居ガイドラインと各種チェックシートを公開しており、これを入居時に渡すことがトラブル防止の第一歩になります。
出典:国土交通省「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」
騒音トラブル全般については騒音トラブルの対処法も参考にしてください。
在留期間と契約期間の問題
在留期間が短い外国人(残存期間が1年未満など)との契約では、在留期間に合わせた定期借家契約を活用するケースがあります。在留期間が切れると日本に住む法的根拠がなくなるため、契約者が個人の場合は特に慎重な対応が必要です。
定期借家契約については定期借家契約の解説記事も参考にしてください。
ただし、法人(雇用企業・日本語学校)が契約者になる場合は、在留期間の問題を法人が責任を持って管理するため、通常の賃貸借契約で対応できるケースもあります。誰が契約者になるかによって、対応方針やその具体性、再現性が変わりますので、非常に重要なポイントといえるでしょう。
帰国時の退去リスクと外国人専用保証会社
個人契約の外国人が帰国する際に起きやすい問題として、残置物の放置・連絡不通・敷金返還の複雑化があります。帰国してしまうと連絡が取れなくなり、残置物の処分・原状回復費用の請求が困難になります。こうしたリスクへの現実的な対策が外国人専用保証会社の活用です。
外国人専用保証会社は、外国人入居者特有のリスク(帰国・連絡不通・言語の壁)に対応したサービスを提供しています。GTNなどが代表的な企業で、多言語での対応・帰国時のリスクカバーが特徴です。外国人の入居を受け入れる際は、通常の保証会社ではなくこうした専門会社の利用を検討することをお勧めします。
保証会社全般については保証会社の解説記事も参考にしてください。
「外国人可」物件を見つける方法
ポータルサイトのフィルターを活用する SUUMOやHOMESには「外国人可」の絞り込み条件があります。まずここから始めるのが基本です。
条件を整えたうえで交渉する 日本語でのコミュニケーション能力・日本人の緊急連絡先・外国人専用保証会社への加入、これらを揃えたうえで「外国人可」表記のない物件にも申し込むと、選択肢が広がります。
法人・学校法人経由での契約を活用する 雇用企業や日本語学校が契約者になる法人契約は、個人契約より審査が通りやすく、管理会社にとっても安心感があります。在籍している学校や勤務先に相談してみてください。
法人契約の詳細については法人契約の解説記事も参考にしてください。
店長の独り言
「外国人のお部屋探しを毎日たくさん行っていますが、実は一番多い入店ルートは、実は『紹介』によるものです。
紹介による来店であれば、お部屋探しをするにあたって、私たちも安心してお探しすることができますし、どのような文化的背景をお持ちか、などもわかりますので、スムーズにお部屋探しをすることが可能です。
もしも外国籍の方でお部屋探しを今から始める、そんな人はぜひご友人や会社、学校からの紹介で賃貸仲介会社を探すのも一つの手です。」
オーナー・管理会社向けワンポイント
外国人入居者を受け入れる際に最低限確認すべきことは3点です。入居人数の明示(申告通りの人数が実際に入居するかの確認)、日本語での意思疎通が可能かどうか、緊急連絡先または保証人の確保です。
国土交通省が14言語に対応した「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を公開しています。入居申込書・重要事項説明書・賃貸借契約書の多言語版も用意されており、入居時にこれらを渡すことがトラブル防止の実務的な第一歩になります。外国人専用保証会社の活用とセットで進めることで、リスクをある程度ヘッジできます。
重要事項説明の確認ポイントについては重要事項説明書の解説記事も参考にしてください。
この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
- ハウスコム(暮らしエイト):宅建士の視点から賃貸トラブル解決法を30本以上執筆
- CHINTAI(CHINTAI情報局):現場を知る店長としてお悩み解決記事を連載中