
「もう戻ってくることもないから、売りたい」そんな一言から始まった売却相談です。
今回はみやま市山川町で、実父の終の棲家として建てた平屋と、築80年の倉庫小屋が建つ800㎡の土地の売却事例です。倉庫小屋の中には山ほどの荷物が詰まっており奥の部屋まで入れない状態。残置物の撤去費用・倉庫小屋の解体費用というダブルのネックを前に、一般的な仲介売却では前に進めない状況でした。最終的に当社による自社買取という手法で300万円での成約に至った経緯をお伝えします。
なお物件や売主の特定を避けるため、内容は特定できない範囲でのご紹介となります。画像は対象不動産とは関係ありません。
物件・売主の概要
今回ご紹介する不動産や売主様の概要は、以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在エリア | みやま市山川町 |
| 物件種別 | 土地・建物(平屋+倉庫小屋) |
| 築年数 | 平屋:築約20年 倉庫小屋:築約80年 |
| 広さ | 土地800㎡ 平屋(詳細非公開)・倉庫小屋約80㎡(2階建て) |
| 売却価格 | 300万円 |
| 売却期間 | 短期(自社買取のため) |
| 売却理由 | 高齢のため戻ってくることがなくなった |
売却に向けての困難——何がネックだったか
どのような不動産にも、売却にはいくつかの障害があります。今回ご紹介する「障害」は、みやま市や柳川市などの郊外エリアでは一般的な障害になるため、参考にしておきたいところです。
「終の棲家」として建てた平屋と、築80年の倉庫小屋
実父のために建てた平屋は築約20年で状態は比較的良好でした。問題は敷地内にある築80年の倉庫小屋です。外観からは想像しにくいですが、実際に見ると2階建て・約80㎡という相当な規模で、かつてはおそらく居住用として使われていたと思われる建物でした。
その倉庫小屋の中には山ほどの荷物が詰め込まれており、奥の部屋まで辿り着けない状態です。売主様には残置物を撤去するほどの資力も時間もなく、そのままの状態での売却を希望されていました。
残置物撤去・解体整地・水質検査・確定測量|費用負担の壁
この物件を一般市場で売却しようとすると、買主が購入前または購入後に負担する費用が積み上がります。倉庫小屋の残置物撤去・建物の解体整地・井戸があるため水質検査・さらに平屋の事前調査・土地の確定測量など、これらを合算すると、売却価格から差し引かれる金額は相当な規模になります。
売主様は「先行投資するほどの資力はない」とおっしゃっており、費用を持ち出してから売却するという選択肢は最初から除外する必要がありました。早期売却という希望とのバランスをどう取るかが最大の課題でした。
隣地はすべて畑・田|能動的な売却アクションが取れない
郊外エリアの広大な土地を売却するとき、まず考えるのは隣地への声がけです。隣接地の所有者が購入に興味を持つケースは多く、広さを活かした用途拡張が期待できるためです。
しかしこの物件の隣地はすべて畑・田でした。農地の所有者に声をかけたとしても、農地法の制約から一般の方が農地以外の目的で隣接地を購入することは容易ではありません。能動的にアクションを起こしようがない状況で、一般的な仲介売却の手法では手詰まりになる可能性が高い物件でした。
店長の独り言
「現地を見た瞬間、正直なところ『これは難しい』と思いました。倉庫小屋の中に入れないくらいの荷物・築80年の建物・井戸・隣地はすべて農地、普通に仲介しようとしても買主はなかなか現れない。そういうときに何ができるかを考えるのが、地域に根ざした不動産会社の仕事だと思っています。」
どう解決したか|自社買取という選択
当社による直接買取を提案
一般市場での仲介売却が難しいと判断した時点で、当社による直接買取を提案しました。仲介ではなく当社が買主として物件を購入するという方法です。
直接買取であれば、残置物の状態・倉庫小屋の解体が必要なこと・井戸の水質検査の必要性・平屋の事前調査といったすべての課題を当社側で引き受けることができます。売主様は何も手を付けることなく、物件をそのままの状態で引き渡すことができます。
ただしこれらの費用はすべて買取価格に反映する必要があります。残置物撤去・倉庫小屋の解体整地・各種調査費用を積み上げたうえで、当社が300万円という買取価格を提示しました。売主様の当初希望額800万円からは大きく下がる金額です。
二つ返事でOK|売主様の判断
提示した瞬間、正直なところどうなるものかと思いながらの提案でした。しかし売主様からは二つ返事でOKをいただきました。
売主様にとって最優先だったのは「早期に・余計な手間をかけずに・確実に現金化する」ことでした。800万円という希望額よりも、その3つの条件が揃っていることの方が重要だったのです。あれよあれよという間に手続きが進み、売却が成立しました。
店長の独り言
「300万円という数字を提示するとき、少し緊張しました。希望額の半額以下ですから。ただ売主様の状況を正確に把握したうえで、残置物撤去・解体整地・調査費用を積み上げると、これが現実的な数字だという根拠があります。
根拠のある数字をきちんと説明できれば、売主様は必ず理解してくださると信じています。今回の二つ返事は、その根拠の説明がきちんと伝わったということだと受け取っています。」
この事例から見えるみやま市エリアの売却の現実
郊外では自社買取や業者買取が有力な選択肢
福岡県南部の郊外エリアでは、隣地が農地というケースは珍しくありません。また、そもそも市場性に欠ける(人が少ない、過疎化が進んでいるなど)エリアや、農地法の制約から隣地への声がけが機能しにくい状況では、一般市場での仲介売却よりも自社買取や業者買取が実質的な選択肢になることがあります。
仲介売却にこだわって時間をかけるより、自社買取で早期に現金化する方が売主様の手元に残るお金が多くなる場合があります。特に残置物・解体費用という先行コストが発生する物件では、買取価格からそれらを差し引いた金額と、仲介で売れた場合の手取りを比較することが重要です。
「早く・確実に・手間なく」が最優先の場合は買取を検討する
今回の売主様のように「早期売却・余計な手間なし・確実な現金化」という優先順位が明確な場合、自社買取は非常に有力な選択肢です。仲介売却は高値を狙える反面、買主が見つかるまでの時間と手間がかかります。
売却の目的と優先順位を最初に整理することが、最適な売却方法を選ぶための出発点です。
店長の独り言
「今回購入させていただいた物件ですが、無事に解体作業を終え、平屋のリフォームも完了いたしました!そして先日、次の新しい買主様とも素敵なご縁で結ばれ、無事にお引き渡しをすることができました。
「ぽつんと一軒家」とまではいきませんが、やはり郊外の物件は、正直なところ買主様を見つけるのに苦労することも少なくありません。
しかし、都会にお住まいの方からすれば、「これだけ広大な土地で、コストを抑えて豊かな田舎暮らしができる」というのは、何物にも代えがたい魅力に映るはずです。
「定年退職を迎えて体が元気なうちに、都会の喧騒を離れて、のんびり土に触れながら暮らしたい」
そんな風にセカンドライフを描いている方にとって、手頃な価格で手頃なサイズ感の平屋、そして何より「広い土地」という条件は、私たちが思う以上に感動していただける宝物になるのだと、改めて実感いたしました。みやま市山川町はみかんが有名なところです。買主様はぜひみかん畑に挑戦したいと仰っていました。」
同じような状況でお悩みの方へ
残置物が多くて売れないと思っている・解体費用が出せない・隣地が農地で声がけもできない。そのようなお悩みをお持ちの福岡県南部エリアの方は、ぜひ一度ご相談ください。状況によっては自社買取という選択肢も含めて、最適な売却方法をご提案できます。査定・相談は無料です。
みやま市、柳川市、筑後市、広川町、八女市など、福岡県南部エリアで不動産についてお悩みの方はお気軽にお申し付けください。
この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
- ハウスコム(暮らしエイト):宅建士の視点から賃貸トラブル解決法を30本以上執筆
- CHINTAI(CHINTAI情報局):現場を知る店長としてお悩み解決記事を連載中
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