【売却事例】柳川市・コの字型1,200㎡の特定空き家が景観条例の壁を「分筆」で突破、希望額1,200万円で満額成約

「趣のある名家だったのだろう」と一目でわかる、コの字型の土地にある立派な本家と離れ。しかし建物は倒壊寸前、市から特定空き家に指定され、離れは鍵すら見つからず室内に入れない状態でした。

今回は柳川市の水郷エリアで、1,200㎡という広大な敷地を持つ特定空き家の売却相談です。地型の特殊性に加えて柳川市ならではの景観条例という二重の壁を、分筆という一手で突破し、希望額1,200万円での満額成約に至った経緯をお伝えします。

なお物件や売主の特定を避けるため、内容は特定できない範囲でのご紹介となります。画像は対象不動産とは関係ありません。


目次

物件・売主の概要

今回ご相談いただいた物件と売主様の概要は以下のとおりです。

項目内容
所在エリア柳川市(水郷エリア)
物件種別土地・建物(本家・離れ)
敷地形状コの字型・約1,200㎡
建物状態特定空き家指定・倒壊寸前
売却価格1,200万円(希望額満額)
特記事項柳川市景観条例の制限区域に一部該当

売却に向けての困難——何がネックだったか

不動産の売却に困難さはつきものですが、今回の困難さは極めて難易度が高いものでした。

一般的に市街地に近いところは、繁華性が高いため売りやすい、そう考えるのが普通です。しかし、今回はその市街地への近さがネックになってしまうのです。

特定空き家指定・入室不可能な離れ

建物はすでに倒壊寸前の状態で、柳川市から空き家対策の注意喚起として「特定空き家」に指定されていました。離れに至っては鍵が見つからず、入室すらできない状態。室内は荷物が積み上がり、キッチンは天井が崩落して室内から外の空が見えるという、相当深刻な状態でした。

コの字型1,200㎡という珍しい地型

売却を最も難しくしていたのが地型です。コの字型という珍しい敷地形状は、一般的な建築計画には適さず、活用方法が限られます。広さだけ見ればアパート用地として魅力的に映るはずですが、この変則的な形状が大きな足かせになっていました。

柳川市の景観条例|川下りの中心線から20m

さらに厄介だったのが柳川市特有の景観条例です。柳川市は水郷の街として、お堀を巡る川下りが観光資源として有名です。この川下りのルートの中心線から20m以内に位置する土地は、一部でも含まれていればその全体が景観条例の制限区域に指定されます。

制限の内容も簡単ではありませんでした。2ヶ月に1回開催される委員会に建築計画の概要をプレゼンし、条例の内容に応じて修正を求められるという手続きです。広さに惹かれてアパート業者からの引き合いはあったものの、いざ条例の内容を説明すると「それでは建てられない」という反応が続きました。

店長の独り言

「正直、この物件を最初に見たときは『これは時間がかかるな』と覚悟しました。特定空き家・コの字型・景観条例という3つの壁が同時に立ちはだかる物件は、なかなかお目にかかりません。ただ、広さという武器があったので、何とかこの武器を活かせる方法を考え続けました。」

どう解決したか——分筆という一手で条例の壁を突破

ウルトラC:川から20mで土地を分筆する

行き詰まった状況を打開したのが「分筆」という発想でした。コの字型の土地を、川下りの中心線から20mまでの範囲と、それより奥の範囲とに分筆したのです。

景観条例の制限区域は「一部でも含まれていればその全体が対象」という規定でした。逆に言えば、制限区域に該当する部分とそうでない部分を物理的に切り分ければ、制限を受けない側の土地は条例の対象から外れます。この分筆によって、アパート業者が建築計画を立てられる土地を作り出すことに成功しました。

アパート業者の建築プランに合致、満額成約へ

分筆によって条例の制限がクリアになったことで、これまで「広いけど建てられない」と引き返していたアパート業者の建築プランに合致するようになりました。最終的に希望額1,200万円での満額買い付けとなり、無事に成約に至りました。

店長の独り言

「分筆という手法自体は不動産業界では珍しいものではありませんが、景観条例の制限区域という法的な制約を分筆で切り分けるというアプローチは、なかなか思いつくものではありません。

土地の形状や法規制をただ嘆くのではなく、『じゃあどう切ればいいのか』という発想に切り替えられるかどうかが、こういう難物件を動かせるかどうかの分かれ目だと思います。」

決済スキーム|建物付きで所有権移転、解体は買主が実施

今回の決済スキームにも工夫がありました。決済段階では土地だけの所有権を移転し、建物の所有権は売主に残したまま、決済後に買主側で解体を実施するという流れにしています。建物の滅失登記は解体後に買主側で行いますが、その際に必要な書類関係や手続きは売主側が協力する形を取りました。

このスキームを採用した理由は不動産取得税です。建物の所有権を移転させないことで、買主は建物分の不動産取得税を回避することができます。結果として特定空き家の指定も、買主による解体によって自然に解除される運びとなりました。

店長の独り言

「決済のスキーム一つで税金が変わってくるというのは、知っている人と知らない人で大きな差が出るポイントです。今回は買主様にとっても税負担を抑えられるメリットがあり、売主様にとっても解体の手間や費用を負わずに済むというメリットがありました。

双方にとって合理的な着地点を見つけられたケースだったと思いますし、このような提案をしたことで、手続きも費用も最小限にできたことも、この売買契約の成立に一役買ったのではないでしょうか。」


この事例から見える柳川市エリアの売却の現実

景観条例は柳川市ならではの落とし穴

柳川市の水郷エリアで不動産を扱う際は、川下りルートからの距離という、他のエリアでは存在しない独自の規制を必ず確認する必要があります。広い土地・好立地に見えても、景観条例の制限区域に該当しているかどうかで建築計画が大きく変わってきます。

「動かない理由」を「動かす方法」に変換する発想

特定空き家・変則的な地型・景観条例という複数の制約が重なった物件でも、ひとつひとつの制約を分解して対処法を考えることで、出口が見つかることがあります。分筆という手法は、法規制そのものを変えることはできなくても、土地の区切り方次第で制約の影響範囲を限定できるという好例です。

柳川市の不動産売却で同じような状況でお悩みの方へ

特定空き家に指定されている・土地の形状が特殊で売れないと言われた・柳川市の景観条例で建築計画が進まない。そのような福岡県南部エリアの方は、ぜひ一度ご相談ください。一見動かしようのない物件でも、法規制や地型を分解して考えることで出口が見つかることがあります。査定・相談は無料です。

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