
「不動産会社に売却を断られた」「一括査定サイトに登録したのに連絡がこない」「何でも買い取りますって言っていたのに買取を断られた」筑後市・柳川市・みやま市・広川町・八女市など福岡県南部エリアになればなるほど、そんな経験をされた方は意外と多い印象があります。
売れないかもしれない、と薄々感じながら相談したのに、やっぱり断られた。あるいは、連絡すらこなかった。その理由がわからないまま途方に暮れている方に向けて、この記事では「断る側」の現役店長が本音でその理由を解説します。
不動産会社がどういう基準で断るのか、一括査定サイトの裏で営業担当者が何を考えているのか、そして断られた後にどう動けばいいのかを、現場20年の視点でお伝えします。
不動産会社が売却を断る理由 ①物件の問題
不動産会社が売却の依頼を断る理由で、もっとも多いのは物件そのものの問題です。ただ、「問題のある物件だから断る」という単純な話ではありません。断るかどうかの判断は、ほぼ費用と売却価格のバランスで決まります。
たとえば、長年放置されて樹木が生い茂っている物件、建物が傾いていて解体するしかない状態の物件。こういった物件の相談を受けたとき、私がまずやることは費用の計算です。「今の状態で解体するといくらかかるか」「更地にしたときの売却相場はいくらか」を照合して、所有者に正直にお伝えします。
解体費用が売却価格を上回るなら、売却しても手元にお金が残らないどころか赤字になる可能性があります。そこまで説明したうえで「それでも売却活動を進めますか」という話になります。仲介手数料もかかりますし、いつ売れるかもわかりません。そのリスクを理解していただいたうえで動くかどうか、ということです。
店長の独り言
「手間がかかる物件だから断る、という発想は私個人としてはあまりありません。時間をかければいい話です。ただ、時間がかかることはきちんと説明します。問題なのは費用対効果であって、手間そのものではない、というのが現場の感覚です。」
断られやすい物件の特徴
物件の問題で断られやすいケースを整理すると、おおむね以下のパターンに集約されます。
解体費用が売却価格を上回る物件は先ほどの通りです。更地にしても利益が出ない、あるいは持ち出しになるとわかった時点で、売却活動の意味を問い直す必要があります。
法的なトラブルを抱えている物件も断られやすいです。隣地との境界が曖昧過ぎる、越境物がある、近隣と長年揉めているといったケースは、売却後のトラブルに不動産会社も巻き込まれるリスクがあります。仲介に入った以上、説明義務が生じるからです。
再建築不可・接道していない物件も扱いが難しい物件です。建て替えができない物件は買い手の幅が狭く、投資家や買取業者が主なターゲットになります。一般的な仲介会社がエンドユーザー相手に売却するには、少々動きにくい案件です。
市街化調整区域の物件も同様です。原則として新たな建築ができないため、買える人が限られてしまうからです。
不動産会社が売却を断る理由 ②価格と「人」の問題
物件に問題がなくても断られるケースがあります。価格の問題と、あまり語られることのない「人」の問題です。
相場を大きく逸脱した希望価格
「この価格でないと売らない」という強い意思を持って相談に来られる方がいます。気持ちはわかります。ただ、相場から大きく外れた価格では買い手がつかず、不動産会社としても動きようがありません。
査定額を大幅に上回る希望価格を提示された場合、誠実な不動産会社ほど正直に「この価格では売れません」とお伝えします。それを受け入れてもらえなければ、媒介契約を断らざるを得ない場面も出てきます。
「人の問題」で断るケース|これが一番言いにくい本音
不動産業界ではあまり表に出ない話ですが、お客様の側に問題があって断るケースも実際にあります。
一括査定サイトから問い合わせをいただき、電話をかけたところ、開口一番「何回も電話してくるな、こちらの質問にだけ答えろ」と言われたことがあります。それでも査定まではきちんと対応しました。ところが調べてみると、ご自身が自分の土地だと思っていた一部が実は市の土地だったことが判明し、査定額は激安になりました。その後、先方からの連絡はありませんでした。
不動産の売却は、長ければ数ヶ月から1年以上かかることもあります。その間、所有者と不動産会社は密にやりとりをしながら進めていきます。コミュニケーションが根本的に成り立たない関係では、お互いにとって不幸な結果になります。フェードアウトという形を選ぶことも、現場では正直あります。
登記上の「本当の」所有者に合わせてもらえないケース
親族が相談に来て「本人は体が不自由だから」「本人には確認済みだから」といった形で、物件の所有者本人と面会させてもらえないケースがあります。これは断る理由の中でも特に深刻です。
不動産会社は売買の過程で必ず本人確認を行います。なんなら、媒介を締結する段階で本人にお会いすることが大前提です。移転登記の場面では司法書士も本人確認をします。もし万が一、所有者本人の意思が「売りたくない」であれば、契約締結後であっても取引はすべてご破算になります。その場合は違約金の問題にも発展します。
本人に会わせてもらえない、という状況は、いわゆる地面師のリスクと構造が重なります。善意の親族であっても、不動産会社として本人確認ができない案件は引き受けられません。
店長の独り言
「本人の負担を減らすために私が全部動きます、このような親思いのお気持ちは心から尊敬しますし、素晴らしい試みだと思います。
ただ、こと不動産の売却にあたってはこの親思いの行動はマイナスにしか働きません。
万が一にも、不動産の所有者が認知症であったりして意思表示が不明瞭であれば、取引自体が成立しないリスクすら存在するからです。
こういったマイナスな要素をなくすためにも、本人との面談は絶対に必要だ、と心得てください。」
一括査定サイトで連絡がこない理由
「一括査定サイトに登録したのに、一件も連絡がこなかった」という経験をした方は少なくありません。これにも理由があります。
一括査定サイトから問い合わせが届いたとき、営業担当者がまず何をするか。住所を検索して、物件と周辺のエリアを確認します。その瞬間に「あっ」となるケースが実際に多いです。
「こりゃ売れないわ」「このエリアは動きが鈍い」「市街化調整区域じゃないか」など、地図を見た数秒で、ある程度の判断がついてしまいます。一括査定サイトに登録している不動産会社の中には、自社が対応できないエリアや物件種別でも登録しているケースがあります。問い合わせが来てから「対応外でした」とわかり、連絡しないまま終わる、というのが連絡がこない理由の多くを占めています。
連絡がこないこと自体は失礼な話ではあります。ただ、連絡がこなかった=その会社では動けない物件だった、という解釈が実態に近いです。
断られた・連絡がこないときの次の一手
ある不動産会社からは断られた、一括査定サイトを経由してもどこからも連絡がこなかった。ではどうするのがよいのでしょうか。
筑後市・柳川市・みやま市・広川町・八女市といった福岡県南部エリアは、市街化調整区域や再建築不可物件が多く、一括査定サイトで連絡がこないケースが特に起きやすい地域です。断られた理由を整理したうえで、次の動きを考えましょう。
まず、断られた理由を不動産会社に聞くことが最優先です。物件の書類を手元でチェックしても、問題の本質はわかりません。なぜ断られたのかを正直に聞いて、その理由に応じた対策を考えるのが出発点です。
価格の問題であれば、希望価格を見直すことで動き出せる可能性があります。法的なトラブルや境界の問題であれば、専門家(土地家屋調査士・司法書士)に相談して問題を解消してから改めて売却活動に入る方法もあります。
物件やエリアの問題で動きが難しい場合は、訳あり物件・難あり物件を専門に扱う業者や、買取専門の業者への相談が現実的な選択肢になります。仲介では売りにくい物件でも、買取なら対応できるケースは少なくありません。
店長の独り言
「不動産会社と買取業者の間には、それなりの関係性があります。
そのため、いきなり一見で買取業者の門を叩くよりも、不動産会社から買取業者を紹介してもらう方がはるかに高い値段がつきますし、説明や調査という面から見てもお手軽です。
そりゃそうですよね、買取業者に『何社も断られたんです、ぜひ買い取ってください』なんて言ってしまったら、足元を見られて当然です。」
人の問題や価格の問題で折り合いがつくなら、それを解決することで道が開けます。それが難しい場合、たとえばエリアや法的な制約が理由であれば、一度じっくりお話を聞かせてください。物件ごとに状況が異なりますし、事例によっては出口を一緒に考えることができます。
【店長の独り言】
「連絡がこないのは確かに失礼な話です。
ただ、連絡をしない営業担当者の側にもそれなりに理由があって、住所を見た瞬間に「これは動けない」と判断しているケースがほとんどです。大事なのはその理由を把握することで、理由がわかれば次の一手が見えてきます。断られたことで諦めるより、断られた理由を聞きに行く方が、ずっと建設的です。
ただ、逆もあります。つまり、査定したにも関わらずお客様から何のリアクションもいただけない、これは半分以上のお客様に当てはまります。
さすがに、これがずっと続けば、そりゃ不動産会社だって連絡したくなくなりますよね?
なので、「検討します、またこちらから連絡します。」だけでも連絡を入れてもらえると、営業担当者から連絡がなくなるようなことも撲滅できるのかな、と思ったりします。」
売却事例については以下の記事もあわせてどうぞ。物件ごとの「出口の見つけ方」を具体的にお伝えしています。
【売却事例】柳川市吉原・再建築不可の一戸建てが利回り20%超・80万円で成約
この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
- ハウスコム(暮らしエイト):宅建士の視点から賃貸トラブル解決法を30本以上執筆
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