賃貸のブレーカーが落ちた・電気が消えた!復旧手順とスマートメーター対応を現役店長が解説

賃貸でブレーカーが落ちたとき、「どれを上げればいいのか」「自分でリセットしていいのか」と焦る方は多いです。まず分電盤を見て、どのブレーカーが落ちているかを確認してください。

今すぐ確認——状況別の対処

  • 中央の「漏電」表示のブレーカーが落ちている→ 触らずすぐ管理会社・電力会社へ(火災の危険)
  • 右側の小さいブレーカーが落ちている→ 一度「切」まで下げきってから上げる(半落ちに注意)
  • 全部上がっているのに電気が消えた→ スマートメーターの自動遮断の可能性。使っていた家電を切って数分待つ
  • 廊下に出たら廊下の電気も消えている→ マンション全体の引き込みブレーカーの問題。管理会社へ連絡
  • 廊下の電気はついているのに自室だけ消えた→ 専有部の問題。分電盤を確認する
  • 電気はあるのに水が出ない・テレビが映らない→ 共用部ブレーカーのダウンの可能性。管理会社へ連絡

賃貸業界20年以上・現役宅建士の立場から、ブレーカーの種類と正しい対処法・費用負担の判断基準を解説します。電気関係は事故や火災につながることもあるため、この記事をお読みいただき、冷静に対処するようにしてください。

この記事でわかること

  • 3種類のブレーカーの役割と見分け方
  • 「半落ち(トリップ)」の正しいリセット方法
  • スマートメーター導入物件での対処法
  • 費用負担の判断基準(漏電ブレーカーは貸主負担)
  • アンペア契約を上げたい場合の交渉手順
  • 緊急時の正しい連絡先と順番
目次

まず確認——3種類のブレーカーの役割と見分け方

分電盤(ブレーカーボックス)には3種類のブレーカーが入っています。どれが落ちているかによって、対応がまったく異なります。

種類場所・見た目役割自分でリセット
メインブレーカー分電盤の一番左・大きめ建物・部屋全体への電気の入り口⚠️ 要確認
漏電ブレーカー分電盤の中央・「漏電」と表示漏電を検知して電気を遮断する安全装置❌ してはいけない
安全ブレーカー分電盤の右側・複数並ぶ小さいもの各部屋・各回路への電気を管理✅ できる

店長の独り言

「漏電なんて普通に生活していたらまず起きることはありません。専有部分で漏電ブレーカーが落ちる原因のほとんどはブレーカー本体の経年劣化です。

一方、廊下・屋上・外壁など雨ざらしになっている共用部分の電気設備では漏電がよくあります。これは建物の管理側の問題ですので、入居者は心配せず管理会社に連絡してください。」

なお、ブレーカーが落ちたときの対応とブレーカーの各部名称を以下のようにまとめました。

安全ブレーカーの正しいリセット手順——「半落ち」に注意

右側に並んでいる安全ブレーカーが落ちた場合、以下の手順でリセットします。ここで多くの方がはまる「半落ち(トリップ状態)」に注意してください。

①使用中の電化製品をすべてオフにする
電源を切らないままブレーカーを上げると、また落ちます。テレビ・電子レンジ・ドライヤーなど使っていた家電の電源をすべて切ってください。

②落ちているブレーカーを「一度下に下げきる」
ここが重要です。ブレーカーが落ちると、スイッチが中途半端な位置(真ん中あたり)で止まった状態になります。これが「半落ち(トリップ状態)」です。この状態のまま上に上げようとしても、スカスカして入りません。まず「切」の方向にカチッと下げきってから、「入」の方向に上げてください。

③電化製品を一つずつ使いながら様子を見る
原因となった家電の組み合わせを特定するため、電源を一つずつ入れて確認します。

「廊下に出て確認する」——マンション全体のブレーカーが原因のケース

自室の分電盤を見ても問題がない、あるいは全部のブレーカーが上がっているのに電気が消えた場合は、まず廊下に出て廊下の電気がついているか確認してください。これが最も素早い切り分けの方法です。

  • 廊下の電気がついている→ 専有部(自室)の問題。自室の分電盤を再確認してみてください
  • 廊下の電気も消えている→ マンション・アパート全体の引き込みブレーカーの問題です、自分では対処できないため、すぐ管理会社へ連絡してください

マンションやアパートには建物全体に電気を引き込む「幹線ブレーカー」というブレーカーのボスのような存在があり、経年劣化や落雷のダメージでこれがダウンすることがあります。この場合は管理会社が電気業者を手配してブレーカーを交換するまで復旧しません。

また、建物の引き込みブレーカーには「専有部用」と「共用部用」が分かれているケースがあります。共用部用のブレーカーだけがダウンした場合、自室の電気はつくのに以下の症状が出ることがあります。

  • 水が出なくなる:給水ポンプを動かす電力が共用部から供給されているため
  • テレビが映らなくなる:アンテナブースターへの電力が共用部から供給されているため
  • エレベーターが動かなくなる:エレベーターを動かす電気が供給されなくなるため

「電気はついているのに水が出ない、テレビが映らない」という症状は、この共用部ブレーカーのダウンが原因のケースがあります。自室の設備の問題ではないため、管理会社に連絡してください。

店長の独り言

「電気が消えたとき、いきなり分電盤を触る前に廊下に出てみてください。廊下の電気がついているかどうかで、『自室の問題か建物全体の問題か』を一瞬で見極めることが可能です。

建物全体の問題であれば分電盤をいくら触っても意味がありませんし、自室だけの問題であれば管理会社に連絡する前に自分でリセットできる場合もあります。この切り分けを知っているだけで、慌てずに対処できます。

なお、幹線ブレーカー(ブレーカーのボス)がやられているときは、復旧までに数時間かかることも珍しくありません。そのため、夏や冬などエアコンが欠かせない季節など、生命や健康にかかわる可能性があるときは、ネットカフェやホテルの利用なども視野に入れておくと良いでしょう。」

スマートメーター導入物件での対処——左端のブレーカーがない場合

最近の賃貸物件では「スマートメーター」が導入されており、分電盤の一番左に大きなアンペアブレーカーがない物件が増えています。このような物件で「全部のブレーカーが上がっているのに電気が消えた」という場合は、スマートメーターの自動遮断が疑われます。

スマートメーターは設定アンペアを超えた電力使用を検知すると、自動で電気を遮断します。従来のメインブレーカーと同じ役割をスマートメーターが担っているため、分電盤側には対応するブレーカーが設置されていません。

対処法:使っていた家電の電源を切り、数分待ってください。消費電力が下がると自動で復旧することがあります。復旧しない場合や、繰り返し遮断される場合は管理会社に連絡してください。

店長の独り言

「『左端のブレーカーがないのにどこを上げればいいのか』と焦ってご連絡をいただくことがあります。スマートメーター導入物件ではそのブレーカー自体が存在しないので、分電盤をいくら見ても見つかりません。電気が消えた原因が家電の使いすぎなら、家電を切って待つだけで復旧します。

確かに、スマートメーター用のブレーカーはまだまだ導入も少ないので、無理もないな、というのが本音です。私たちも、日々勉強が必要な状況です。」

費用負担の判断基準——漏電ブレーカーの故障は貸主負担

原因費用負担備考
家電の使いすぎ(アンペアオーバー)借主対応使い方の問題のため修理費は発生しない
漏電ブレーカーの経年劣化・故障貸主負担入居者は一円も払う必要なし。夜間でも遠慮なく管理会社・駆けつけサービスへ
ブレーカー本体の経年劣化・故障貸主負担設備の自然故障のため貸主負担で修繕
共用部分の電気設備の漏電貸主負担廊下・屋上など雨ざらしの設備は建物側の管理問題
借主の過失による設備破損借主負担分電盤やコンセントに水をかける、コンセントに埃が被っているなど、明らかな借主による過失のケース

漏電ブレーカーの故障や経年劣化は貸主負担です。「夜間に呼んだらお金がかかるのでは」と遠慮する必要はありません。管理会社や24時間駆けつけサービスに連絡して問題ありません。

店長の独り言

「アンペア不足でよく起きるのが電子レンジとドライヤーの同時使用です。この2つは消費電力が大きく、古い物件ではこれだけでブレーカーが落ちることがあります。対策は同時に使わないことですが、それでは不便なときはアンペア変更を検討してください。

最近は物件側の電気設備が改善されてきたので、築古物件以外ではあまり起きなくなっています。」

アンペア契約を上げたい——交渉の手順と現場の実態

ブレーカーが頻繁に落ちる場合や200Vのエアコンを設置したい場合は、必ず事前に管理会社に相談してください。無断変更は契約違反になります。

  • 管理会社に「アンペアを上げたい」旨を相談する
  • 管理会社が家主に確認し、承諾を得る
  • 電力会社または電気業者が工事・変更手続きを行う
  • 退去時に元に戻す必要があるか書面で確認しておく

200Vのエアコンを設置したい場合は単純なアンペア変更では対応できず、200V回路の増設工事が必要です。入居前に確認しておくことを強くおすすめします。

店長の独り言

「大型エアコン(200V)の設置希望を入居後に言われると、管理側も対応が難しいケースがあります。電気工事が必要で、物件によっては物理的に対応できないこともありますし、変更は基本的に借主負担となります。急な対応が難しいこともあるので、『入居前に確認してほしかった』というのが正直なところです。

大容量の家電を使う予定があるなら、内見・契約の段階で必ず確認しておくようにしてください。

なお、200Vの家電としては、エアコン(14帖以上が主に該当します)・大型食洗器・電気乾燥機などが該当します。」

緊急時の連絡先と順番——漏電の疑いは電力会社が先

①窓を開けて換気する
ガス漏れと同時に起きている可能性があります。まず換気を優先してください。

②室内のスイッチ類を触らない
漏電している場合、スイッチ操作でスパークが起きる危険があります。

③電力会社の緊急連絡先に電話する
漏電の疑いがある場合は管理会社より先に電力会社へ連絡するのが正しい手順です。電力メーターや契約書類に連絡先が記載されています。

④管理会社または24時間駆けつけサービスへ連絡する
電力会社への連絡後、管理会社にも状況を報告してください。漏電ブレーカーの故障であれば貸主負担での修繕になります。

設備故障全般の連絡手順についてはこちらのハブ記事もあわせてご覧ください。

電気が使えない間の家賃はどうなるの?

電気が使えないと、生活に支障をきたすことになります。家主が提供すべき電気設備が不具合を起こしたことによって、電気が使えないとき、その間の家賃はどうなるのでしょうか?

これは一つの目安ですが、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」によれば、電気が使えない期間は家賃が40%の割合で免責される、という指針が示されています。

例えば、家賃が100,000円のお部屋に契約しており、何かの不具合によって10日間ものあいだ電気を使えない状態が続いたときは、100,000円÷30日≒3,333円(1日あたりの家賃)に対して、3,333円×10日=33,330円(10日間:電気が使えない間の家賃)が、33,330円×40%=13,332円減額される、ということになります。

このケースで言えば、家賃は100,000円ではなく86,668円に減額されることとなります。

もちろん、事情や免責期間の定めの他、別の方法での補償なども考えられるため一律に絶対そうなる、というものではありませんが、一つの指針として参考にされてください。

まとめ

ブレーカーが落ちたときの対応は種類によって異なります。安全ブレーカーが落ちた場合は一度下に下げきってからリセット、漏電ブレーカーが落ちた場合は自分でリセットせず管理会社・電力会社へ連絡が原則です。

スマートメーター導入物件では分電盤左端のアンペアブレーカーが存在しません。「全部上がっているのに電気が消えた」場合は家電を切って数分待つと復旧することがあります。

漏電ブレーカーの故障・経年劣化は貸主負担です。夜間でも遠慮なく管理会社や駆けつけサービスを使ってください。大型エアコン設置やアンペア変更は入居前の確認が最大の対策です。

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この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

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