
「他の不動産会社や買取業者に断られ続け、最終的には引き取り料200万円を請求された」そんな状況から売却200万円での成約に至った事例です。
今回は八女市黒木町という山深いエリアで、築約40年の一戸建て売却のご相談からはじまりました。通常売却も買取も不可能と判断された物件が、最終的に親族間売買という意外な出口で解決した経緯をお伝えします。
なお物件や売主の特定を避けるため、内容は特定できない範囲でのご紹介となります。画像は対象不動産とは関係ありません。
物件・売主の概要
今回ご紹介する事例の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在エリア | 八女市黒木町 |
| 物件種別 | 戸建て(築約40年) |
| 売却価格 | 約200万円 |
| 売却期間 | 約6ヶ月 |
| 売却理由 | 相続により取得 |
| 特記事項 | 他業者・買取業者多数に断られ・引き取り料200万円を請求された経緯あり |
売却に向けての困難——何がネックだったか
この事例にあるように、郊外の物件のうち、さらに山間部では売却の難易度が跳ね上がります。同エリアでは同じ悩みをお持ちの人もいらっしゃると思いますので、ぜひ参考にされてください。
「引き取り料200万円」という現実
売主様がご相談に来られたとき、すでに複数の不動産会社と買取業者に相談された後でした。結果は全滅。通常の仲介売却は「エリア的に買主が見つからない」として断られ、買取業者からも拒否されました。そして挙句の果てには、ある業者から「引き取り料として200万円を支払ってもらえれば引き受けます」という信じられない提案まで届く始末でした。
八女市黒木町は福岡県南部の中でもかなり山深いエリアです。人口減少・過疎化の影響が顕著で、不動産の市場性という観点では非常に厳しい立地でした。一般の買主が住宅ローンを使って購入するという選択肢は、現実的ではありませんでした。
店長の独り言
「引き取り料200万円という話を聞いたとき、さすがにひどいと思いました。純粋な気持ちとして、売りたいっていう人からお金取るの?という感覚です。
ただ、それだけこのエリアの物件の処分が難しいという現実の裏返しでもあります。だからこそ、何か別の出口を探すしかない、と考えました。」
民泊・隣地・公民館——すべての選択肢が頓挫
通常売却が難しいと判断した時点で、複数の出口を同時に探しました。
まず注目したのが近隣の民泊施設です。黒木町エリアに民泊施設があることを把握しており、その予約状況・稼働率をつぶさにウォッチしました。稼働率が高ければ民泊での利活用に可能性があると判断し、投資家向けに売却活動を展開しました。しかし投資家の反応は芳しくなく、この線は行き詰まりました。
次に隣地所有者への打診を試みました。しかし隣地の方は「不要」との一言で終わりました。
さらに隣地に公民館があったため、区長への直接交渉にも動きました。「解体して更地にすれば駐車場として借りてもいい」というお返事をいただきましたが、解体費用とリターンの試算が合わず、この案も頓挫しました。
あらゆる選択肢を試したにもかかわらず、売却活動は膠着状態に陥っていました。
どう解決したか——親族間売買という盲点
ひょんなことから見えた「渡りに船」
膠着状態が続く中、ひょんなことから売主様のご親族とお話をする機会がありました。
話を聞くと「相続のとき、本当はこの物件を自分がもらいたかった」という気持ちを持っていたことがわかりました。相続の際に別の親族が取得したものの、その方が売却に困っている——つまり「欲しかった人」と「売りたい人」が同じ家族の中に存在していたのです。
これは渡りに船でした。すぐに購入を打診したところ、話はあっという間にまとまりました。
残置物撤去費用ゼロという予想外のメリット
今回の親族間売買で特筆すべきポイントがあります。室内に残っていた残置物です。
通常の売却では残置物の撤去費用が売主側の負担になります。しかし今回の買主はご親族です。室内の残置物は他の相続人(つまり買主)からすれば、先祖や家族の思い出の品々でもあります。「そのまま引き取ります」という話になり、残置物撤去費用がゼロになりました。売主にとって大きなコスト削減になった点です。
現状有姿・現金一括でスムーズに成立
売買は現状有姿での引き渡しとなりました。建物の状態についての責任を問わない形での契約です。また決済は現金一括でした。
親族間売買には住宅ローンに制限がかかるケースや、売買価格が著しく低い場合に贈与とみなされる「みなし贈与」に注意が必要です。しかし今回は近隣の相場資料を明示したうえで価格を設定し、現金一括での決済となったため、これらの問題をクリアできました。当方も仲介として入ることができ、売主様・買主様双方にとって透明性のある取引として完結しました。
店長の独り言
「親族間売買は意外と盲点になりやすいです。『家族内の話だから不動産会社は必要ない』と思われる方も多いのですが、みなし贈与の問題や適正価格の証明という観点から、仲介が入ることで双方が守られます。今回は近隣相場の資料を用意して適正価格であることを示したことで、税務上のリスクも回避できました。」
この事例から見える八女市エリアの売却の現実
山間部の物件は「誰が買うか」の発想転換が必要
八女市黒木町のような山間部の物件は、一般市場での売却を前提にすると出口がほぼありません。買取業者にも断られ、引き取り料を請求されるというのが現実です。
このような物件を売却するには「誰が市場で買うか」ではなく「この物件を必要としている人は誰か」という発想の転換が必要です。今回のケースでは、その答えが「同じ家族の中にいた」ということになります。
親族間売買は適正価格と仲介の関与がカギ
親族間での不動産売買は、価格設定を誤ると税務上の問題が生じます。著しく低い価格で売買した場合、差額が贈与とみなされ贈与税の対象になる可能性があります。適正価格を示す根拠資料を用意したうえで、仲介業者が関与することで双方が守られます。
「家族内の話だから」と仲介なしで進めてしまうと、後から税務上のトラブルが発生するケースがあります。親族間売買を検討している方は、必ず専門家に相談してください。
八女市の不動産売却で同じような状況でお悩みの方へ
他の業者に断られた・買取業者にも拒否された・引き取り料を請求された——そのような状況に陥っている福岡県南部エリアの方は、ぜひ一度ご相談ください。通常の売却ルートが閉ざされていても、別の出口を探す手段があります。査定・相談は無料です。
この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
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