
賃貸の退去連絡、いつすればいいか迷っていませんか?引越しが決まったとき、多くの方が「そろそろ管理会社に連絡しなきゃ」と思いながら、なんとなく1ヶ月前を目安にしています。しかしその「なんとなく」が、引越し後も家賃が二重に発生してしまう「二重家賃」という痛い出費につながるケースが、現場では後を絶ちません。
20年以上、賃貸の現場に立ち続けてきた店長として断言します。退去で損をする人と損をしない人の差は、知識と行動量があるかどうか、それだけです。
そこで、この記事では、契約書の確認方法から退去連絡の手順、新居との日程調整、さらに多くの人が見落とす退去前チェックリストまで、順を追って解説します。引越しを考え始めたら、まずこの記事を読んでください。
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退去連絡の「正解の日」はここで決まる|解約予告期間の確認方法
退去連絡のタイミングに「1ヶ月前が正解」という共通ルールは存在しません。正解の日は、あなたが今住んでいる物件の契約書に書かれた「解約予告期間」によって変わります。
解約予告期間とは、「退去する旨を管理会社に通知してから、実際に退去するまでに必要な最短期間」のことです。一般的には1ヶ月が多いですが、2ヶ月を設定している物件も珍しくありません。まれに3ヶ月という物件も存在します。
確認場所は、賃貸借契約書の「解約」または「契約の解除」と書かれた条項です。「解約予告」「退去通知」「申し入れ」といったキーワードを目で追えば、3分以内に見つかります。
スケジュールは「引越し希望日から逆算」して組みます。たとえば引越し希望日が3月末で、解約予告期間が2ヶ月の物件であれば、遅くとも1月末までに退去通知を完了させる必要があります。この計算を怠ると、2月・3月の2ヶ月分の家賃を旧居に払い続けることになります。
加えて、解約月の家賃が「日割りになるか」「月割りになるか」も押さえておきましょう。最近はめっきり減りましたが、一部の物件では解約する月の家賃が「月割り」であることがあるからです。
もしも「月割り」であるときは、3月10日に退去したとしても3月分の家賃がまるまる発生する、という恐ろしい契約内容ですので、そのときは引っ越し日を3月の下旬に設定することで、二重家賃の発生を最低限に抑えることが可能です。
店長の独り言
「相談に来るお客さんの半数以上が、この確認を怠っています。2ヶ月予告の物件なのに1ヶ月前に連絡してきて、二重家賃が丸々1ヶ月分発生した。これがよくあるパターンです。契約書を3分眺めるだけで数万円が守れる。解約予告期間や日割り・月割りのことがわからないときは、管理会社に事前の確認をしておくとよいでしょう。」
退去連絡の「前」にやること|店長だけが知る事前チェックリスト
退去連絡をする前に、必ず済ませておくべき確認事項があります。引越しのバタバタの中で見落とされがちなポイントを、現場目線でまとめました。
① 火災保険の解約返戻金を確認する
退去が決まったら、加入中の火災保険会社へ連絡してください。賃貸向けの火災保険の多くは「解約返戻金」という制度があり、残存期間に応じて数千円から1万円以上が戻ってくるケースがあります。管理会社が代行で加入させているケースも多く、退去のどさくさで忘れてしまう方が非常に多いのが実情です。特に、解約手続きは本人でないとできないことが多いため、管理会社がしてくれると思った、と言っても後の祭りです。
契約書の中に保険証券が挟まっていないか、今すぐ確認してみてください。
② 入居時に預けた鍵の本数を数える
退去時に鍵を1本でも返却できないと、鍵交換費用を全額請求されます。入居時に渡された本数を記憶している方は少なく、スペアキーを複製している場合は、複製した鍵も返却する必要があります。今すぐ手持ちの鍵を数えて、入居時の書類と照合してください。
なお、入居時に鍵交換費用を負担していたときは、本数が少ないという指摘に対しては、一度交渉してみる余地はあると考えます。なぜなら、管理会社の指示によって自分の費用で鍵交換をしたのであれば、鍵の所有権は少なくとも自分にあると考えられるからです。
なお、鍵の紛失やシリンダーの破損については、原状回復のガイドラインや判例においても、おおむね賃借人の負担として認められるケースが多い傾向にあります。最近は玄関にシリンダーが2つ設置されている物件も増えており、その場合は交換費用が高額になることも珍しくありません。鍵の管理には、入居中から十分に気を配っておきましょう。
店長の独り言
「少なくとも、私の店舗では、鍵交換費用を入居時に負担していただいている人に対して、退去時に鍵交換費用を本数の不足を原因として請求することはありません。これは管理会社ごとの判断になるから、としか言いようがありませんが、私個人の考え方としては、二重請求は不利益に当たると考えるため、このようなケースでも請求はしていません。」
③ 引越しが繁忙期かどうかを把握する
2月〜3月は引越し業者も大忙しとなり、希望日に予約が取れないことが頻発します。退去・入居の日程が「業者の都合」に引きずられて、意図せず二重家賃が発生するケースもあります。繁忙期に退去する場合は、解約予告期間のギリギリを狙うのではなく、早めの通知で日程の選択肢を確保することが重要です。
なお、引っ越し業者を何件も連絡するのは、極めて骨が折れる作業です。そのため、とりわけ繁忙期のお引越しでは一括見積をすることをおススメします。下記リンクより簡単に見積もりができますので、ぜひご活用ください。
④ 室内に大きな傷や汚れがないかを確認する
室内の傷や汚れは退去時に故意・過失であれば費用請求されてしまうため、ここは早期の対策が必要です。
- 子供がクロスに落書きをしてしまっていた
- 家具を動かしたときに床に傷がついた
- 倒れた拍子にドアにぶつかり壁に穴が開いてしまった
このようなことが発生しているときは、以下のように対応してみてください。
- クロスの汚れは専用の洗剤を購入して掃除する
- 床の傷やクレヨンなどで簡易的に補修する
- 壁などの穴は保険が適用できないか確認する
いずれも、退去日ぎりぎりになると対応できなくなることがあります。そのため、退去連絡を入れるタイミングから対策を講じておくことが、退去費用を安く抑えることに繋がる、と心得ておきましょう。
ご参考程度に、当店でも利用しているクロス用の洗剤をご紹介いたします。業務用ですので、かなりの洗浄力があります。落書きのほか、油汚れ、たばこのヤニ汚れなどにも、効果があります。
店長の独り言
「そんなことで?と思うかもしれませんが、実際にちょっと掃除や手間を加えるだけで、退去費用は抑えることが可能です。むしろ、掃除もしない無防備な状態で退去立会に臨むと、家主や管理会社の思うツボになり、過大な退去費用を負担する可能性がありますので、せめて掃除くらいはしておきましょう。」
新居の入居日と連動させる「スマートな日程設計」
二重家賃を防ぐ最もシンプルな方法は、旧居の退去日と新居の入居日をできる限り近づけることです。しかし新居の入居日は管理会社の都合も絡むため、思い通りに設定できないことがあります。そこで活用したいのが「フリーレント交渉」です。
フリーレントとは、入居後の一定期間(半月〜1ヶ月程度)の家賃を無料にしてもらう交渉です。空室が長引いている物件、築年数が経っている物件、入居申込みが少ない時期、これらの条件が重なると、管理会社はフリーレントに応じやすくなります。
たとえば、旧居の退去日が3月15日で、新居の契約開始が3月1日の場合、前半15日分の家賃が二重になります。このとき「最初の15日分をフリーレントにしてほしい」と交渉できれば、実質的に二重家賃のダメージを相殺できます。
管理会社の本音は「空室のまま月をまたぐよりも、早期に入居者を確定させたい」です。この心理を理解した上で交渉に臨むかどうかで、成功率は大きく変わります。
店長の独り言
「フリーレントは言い出した者勝ちの側面があります。断られることもありますが、聞くだけでタダ。強気に提案してみてください。なお、逆フリーレントではないですが、退去予告期間を短くする、という交渉もアリです。特に、繁忙期は3月中に貸し出せる状況にできるかどうか、によって物件の空室期間は大きく変わります。4月以降になると、引っ越し需要が激減するからです。そのため、3月上旬に退去してくれるなら、もう退去日以降の日割りは要りません、という判断は当然家主や管理会社に働くのです。」
退去連絡は「電話だけ」では危ない?|言った言わないを防ぐ証拠の残し方
退去トラブルの定番が「連絡した日の認識のズレ」です。電話口で「来月末で退去します」と伝えたつもりが、担当者の記録に残っておらず、解約予告期間の起算日が1週間後になっていた、こういったケースは現場ではまったく珍しいことではありません。
実務上の一般的な流れは次のとおりです。
まず電話で退去の意思と希望日を管理会社へ伝えると、管理会社側から「解約通知書」が郵送されてきます。この書類には、電話連絡の際に伝えた退去希望日があらかじめ記入されていることがほとんどです。内容を確認した上で署名・捺印し、移転先の住所や敷金の返金先口座などの必要事項を記入して返送する。これが標準的な退去連絡の完了までの流れです。
メールやLINEで完結させるケースは、実務では例外的です。ただし、最近は、入居者との日常的なやり取りに専用アプリやLINEを活用している管理会社も増えています。その場合は、電話連絡と解約通知書の返送を済ませた上で、LINEやアプリ上でも退去日と連絡日を一言残しておくと、認識ズレの防止として有効です。
解約通知書が届いたら、記載されている退去日が電話で伝えた日付と一致しているかを必ず確認してください。ここにズレがあると、解約予告期間の起算日がずれて二重家賃に直結します。返送前のひと手間が、大きなトラブルを防ぐことになりますので、くれぐれも注意を怠らないようにしましょう。
退去後の精算で損しない——原状回復の基礎知識
退去連絡と同じくらい重要なのが、退去後の費用精算です。退去時に管理会社から提示される請求書に、本来借主が負担しなくてよい費用が含まれているケースがあります。
国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による劣化(経年劣化・自然損耗)は借主の負担ではないと明記されています。日焼けによる壁クロスの変色、家具の設置跡、画鋲の小さな穴(下地ボードに達しないもの)、これらは原則として借主が費用を負担する必要はありません。
一方、タバコのヤニ汚れ、ペットによる傷や臭い、故意または過失による破損は借主負担となります。請求書を受け取ったら、項目ごとに「これは経年劣化か、過失か」を確認する目を持つことが大切です。
わからないときは、めんどくさいかもしれませんが、原状回復のガイドラインを読み込んでおくと良いでしょう。
参考資料:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
退去で損しないためには「事前確認」と「手順」が全てを決める
退去連絡で損をしないために押さえておくべきことを整理します。
まず、契約書の解約予告期間を確認して、引越し希望日から逆算でスケジュールを組むこと。ここが全ての起点です。予告期間が1ヶ月か2ヶ月かによって、連絡すべき日は大きく変わります。
連絡の手順は、電話で退去の意思と希望日を伝える→管理会社から届く解約通知書の記載内容(特に退去日)を確認する→署名・捺印して返送する、この流れが実務の標準です。管理会社がLINEや専用アプリを使っている場合は、手続き完了後に退去日を一言残しておくと認識ズレの防止になります。
加えて、火災保険の返戻金確認、鍵の本数確認、原状回復の基礎知識、これらを事前に把握しているだけで、退去時の取りこぼしは大幅に減ります。新居側のフリーレント交渉も、タイミング次第で二重家賃のダメージを相殺できる有効な手段です。
引越しの計画が決まったら、まずはこの記事に書いてあることを実践してみてください。かならずや、あなたの身を守ることに役立つはずです。