
浴室乾燥機付きの物件に住んでいるのに、乾燥機能しか使っていない。カビが気になるけれど正しい使い方がわからない。電気代が高くなりそうで使うのをためらっている。そんな方が意外と多くいます。
賃貸物件において浴室乾燥機は便利な設備であり、さまざまなメリットがあります。カビの抑制、洗濯物を乾かす、ヒートショック対策など、そのメリットは多岐にわたります。たとえば、カビ対策を考えても、そのまま放置するとカビが発生して退去時に費用が発生するリスクが発生しますが、浴室乾燥機を正しく使えば、電気代を抑えながらカビのない快適な浴室を保つことが可能です。
私は不動産会社の店長として20年以上、賃貸物件の案内と管理に携わってきました。この記事では浴室乾燥機の機能・電気代・カビ防止の正しい使い方を現場の視点でお伝えします。
この記事でわかること
- 浴室乾燥機の4つの機能と正しい使い分け
- 電気代の目安と「換気をケチると損をする」理由
- カビが生えない使い方の手順
- フィルター掃除の方法と頻度
- 故障したときの正しい対応と費用負担
浴室乾燥機の4つの機能
浴室乾燥機には主に4つの機能があります。「乾燥しか使ったことがない」という方は、ほかの機能も把握しておくとちょっと毎日の暮らしが華やかに、そして便利なものに変えることができます。
乾燥は温風を送って浴室内や洗濯物を乾かす機能です。雨の日・花粉の季節・深夜の洗濯など、外干しできないときに活躍します。ファミリー世帯など、特に子どもがいらっしゃるご家庭では、明日までに体操服を乾かさないといけない、そんなときに役立ちますね。
換気は浴室内の湿気を外に排出する機能です。入浴後にこもった蒸気を素早く取り除き、カビの発生を抑えます。基本的にこの「換気」機能はずっとつけおいて大丈夫です。というか、ずっとつけておきましょう。
暖房は入浴前に浴室を温める機能です。冬場の急激な温度差によるヒートショックを防ぐ効果があります。高齢の方がいるご家庭では特に重要な機能です。それ以外にも、私の経験では乳児の沐浴などで役に立ちました。やっぱり、寒い中で子どもをお風呂に入れるというのは、なかなかつらいものです。
涼風は夏場に冷風を送り込む機能です。暑い季節の入浴をより快適にします。半身浴を長く楽しみたい人や、雨の日のプール代わりに子どもをお風呂で遊ばせるときなどに利用するとよいでしょう。
「24時間換気」と「乾燥」は別物
現場でよくある誤解が、24時間換気と乾燥機能を混同しているケースです。24時間換気は微弱な電力で常時空気を循環させる機能であり、洗濯物を乾かしたりカビを防いだりする能力はほとんどありません。「ずっと回っているから大丈夫」と思って換気も乾燥も使わずにいると、湿気がこもってカビが発生します。
リモコンの「換気」または「乾燥」ボタンを意識的に使い分けることがポイントです。
電気代の目安
賃貸物件に設置されている浴室乾燥機はほぼ電気式です。ガス式との違いは気にしなくて構いません。
機能別の電気代の目安は以下の通りです。
乾燥機能:1時間あたり37〜62円。洗濯物を乾かすには夏3時間・冬5時間ほどかかるため、1回あたり110〜310円程度です。毎日使うと月3,000〜9,000円の幅があります。洗濯物の量・季節・浴室の状態によって大きく変わります。
換気機能:1時間あたり0.5〜1円程度。24時間つけっぱなしにしても月150〜400円程度です。乾燥機能に比べて圧倒的に安く、カビ防止の基本として使い続けることをおすすめします。
暖房機能:1時間あたり37〜62円(乾燥と同程度)。毎日入浴前10分使っても月数百円程度です。
乾燥時間を短くするコツ
入浴後すぐに乾燥機能をかけると、浴室内の湿気を飛ばすためにエネルギーが余計に使われます。先に冷水を撒いて換気してから乾燥をかける手順(後述)を守るだけで、乾燥時間を短縮できます。またフィルターが詰まっていると吸いが悪くなり乾燥時間が延びます。定期的な清掃はカビ対策のみならず機能を維持することにも繋がり、結果として電気代の節約につながります。
「電気代がもったいない」は逆効果になることがある
換気や乾燥の電気代を節約しようとして使用をやめると、浴室にカビが発生しやすくなります。カビが広がって退去時にハウスクリーニング以上の費用が発生した場合、節約できた電気代より大きな出費になります。
換気機能は月数百円で動きます。カビへの対策コストと比べれば、動かし続けるべきと言うしかありません。
カビが生えない正しい使い方
「浴室乾燥機があればカビは生えない」という誤解をたまに聞きますが、これは間違いです。使い方の手順を間違えると、乾燥機を使っていてもカビはしっかりと発生します。
ここでは、完全にカビを発生させない利用方法を解説します。明日からでもできますので、ぜひ実践してみてください。
店長推奨の手順
①入浴後、まず水(お湯ではなく)を浴室全体に撒く
これを知らずにいる方がほとんどですが、入浴後にシャワーで冷水を壁・天井・床にかけることで浴室内の温度が一気に下がり、湿度の上昇を抑えられます。お湯を撒いてしまうと逆効果です。時間があれば水切りワイパーで壁と床の水分を取り除いてください。水垢もつきにくくなります。
②換気機能を30分程度使って湿度を下げる
水を撒いた後、まず換気機能で浴室内の湿度を下げます。湿度が高い状態のままで乾燥機能を使うと、浴室自体の湿気を乾かすためにエネルギーが使われてしまい、電気代が余分にかかります。
③乾燥機能で仕上げる(洗濯物がある場合)
洗濯物を干す場合は、換気で湿度を下げてから乾燥機能をかけると乾燥時間が短くなり電気代を抑えられます。
日常的に換気を使い続けることが最重要
乾燥機があるから安心ではありません。入浴後の換気を習慣にすること、そして浴室の日常的な掃除を怠らないことが、カビ防止の本質です。設備に頼りすぎず、普段の管理がモノを言います。
なお浴槽の蓋を閉めてから換気・乾燥をかけると、浴槽の水分が蒸発して余計な湿気が発生するのを防げます。小さな工夫ですが積み重なると効果が出ます。
特に、最後に水をかけるのと、水切りワイパーの威力は絶大です。少なくとも我が家ではカビはまったく発生していません。最近では、マグネットで浴室の壁に設置できるものもあり場所もとりません。ぜひ一度試してみてください。水垢もつかなくて、鏡がいつまでも綺麗なままなのもGOODです。
フィルター掃除の方法と頻度
浴室乾燥機にはフィルターが付いており、定期的な清掃が必要です。
頻度の目安は1〜2か月に1回です。フィルターにホコリが詰まると空気の吸い込みが悪くなり、乾燥時間が延びて電気代が上がります。
掃除の方法はカバーを外してフィルターを取り出し、ホコリを掃除機で吸い取った後、水洗いして乾かしてから戻すだけです。機種によって手順が異なるため、入居時に取扱説明書を確認してください。
フィルターを放置しても即故障にはなりません。現場の感覚として、吸いが悪くなってきたと感じたらフィルターを清掃して様子を見る、それで解決するケースがほとんどです。
なお退去時にフィルター掃除を怠ったことを理由に費用を請求されることは、実務上ほぼありません。ただし日常的に手入れしておく方が乾燥効率が上がり電気代の節約につながります。
故障したときの正しい対応
浴室乾燥機のトラブルで最も多いのは故障です。10年前後で異音が出始め、吸いが悪くなるというパターンが典型的です。これは経年劣化によるものであり、入居者の過失ではありません。
まず管理会社に連絡する
症状が出たらまず管理会社に連絡してください。自分で修理業者を手配して費用を支払ってしまうと、後から管理会社に請求できなくなるリスクがあります。必ず管理会社を通じて対応してもらうことが原則です。
連絡の際は以下の3点を伝えてください。いつから症状が出ているか、どんな症状か(異音・温風が出ない・吸いが弱いなど)、使用頻度はどの程度かの3点です。文字で残るメールや管理アプリで連絡することをおすすめします。
修理か交換かの目安
設置から10年を超えている場合、修理より本体交換になるケースが多いです。修理しても別の部品が続けて劣化することが多いためです。管理会社・オーナーが交換を判断する目安として、10年という数字は現場でもよく使われます。
故障に見えて故障でないケース
温風が弱い・乾きが悪いという症状の多くは、フィルターの目詰まりが原因です。フィルターを清掃してから再度確認してみてください。それでも改善しない場合に管理会社へ連絡する流れが現実的です。
店長の独り言
「浴室乾燥機は内見のときに確認し忘れやすい設備です。築浅の物件ならついているだろうと思い込んで契約したら、実はついていなかった、そういうケースが意外とあります。
実際に、浴室乾燥機は重要事項説明書の基本設備にも記載されいていないことがあるので、チェック漏れが起こりやすい設備なのです。
追い焚きより日常的な需要が高い設備なので、物件探しの段階で必ず確認してください。リモコンがあるかどうか、スイッチを入れて動くかどうかを内見時にチェックしておくと確実です。」
まとめ:使い方と手入れを知るだけで快適さが変わる
浴室乾燥機は乾燥・換気・暖房・涼風の4機能を持つ設備です。乾燥機能だけでなく、換気機能を日常的に使うことがカビ防止の基本です。
カビが生えない使い方の核心は、入浴後に冷水を撒いて浴室の温度を下げてから換気し、その後乾燥をかけるという手順です。乾燥機があるから安心ではなく、日常の換気と掃除がモノを言います。
フィルターは1〜2か月に1回清掃する習慣をつけると乾燥効率が上がります。故障した場合は自己判断で業者を呼ばず、必ず管理会社に連絡してください。
お風呂の設備が故障した場合の対応はこちらで解説しています。 → 賃貸のお風呂が壊れた!故障時の対応と費用負担を解説
設備故障全般の連絡先と流れはこちらです。 → 賃貸で設備が故障したらどこに連絡する?
追い焚き機能についてはこちらで解説しています。 → 賃貸の追い焚き機能とは?循環式と高温差し湯の違いを解説
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この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
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