賃貸の二重窓・内窓付き物件は本当に効果があるのか?現役店長が「ペアガラスとの違い」と後付けの注意点を本音で解説


「二重窓」と「ペアガラス(複層ガラス)」。この2つを同じものだと混同して賃貸物件を探している方は、実は驚くほど多いです。

見た目は似ていますが、構造も、得られる効果も、全くの別物です。

先に結論をお伝えすると、もしあなたが「結露をなくしたい」「外の騒音を消したい」「冬の寒さを防ぎたい」と思って部屋探しをしているなら、選ぶべきはペアガラスではなく絶対に「二重窓(内窓)」です。

以前の記事で「ペアガラスに防音効果を期待してはいけない」という真実をお伝えしましたが、二重窓はその真逆。断熱・防音・結露防止のすべてにおいて、現場で見ていても驚くほどの効果が期待できます。

この記事では、不動産業界で20年近く現場を見続けてきた現役店長が、二重窓付き物件の本当の価値やペアガラスとの決定的な違い、さらには「後から自分で取り付けたい」と思ったときに見落としがちな賃貸ならではの規約の落とし穴まで、実務ベースで徹底的に解説します。

ぜひ最後までお読みください。


目次

二重窓・内窓とペアガラスは全く別物です

まず言葉の整理から始めましょう。二重窓・内窓とペアガラス、これらは似ていますが、構造が根本的に違います。

ペアガラス(複層ガラス)は、1つの窓サッシにガラスが二枚重なっているものです。サッシ自体は一つで、ガラスの内部に数ミリ〜数センチの空気層があります。断熱性は高いですが、サッシがアルミのままでは熱伝導を防ぎきれず、防音効果も限定的ですので、サッシが樹脂製のもののほうが、高い断熱効果が見込めます。

二重窓・内窓は、既存の窓の内側にもう一つ窓を設置したものです。外窓と内窓の間に数十ミリ〜100ミリ程度の空気層ができます。この大きな空気層が断熱・防音の核心です。構造の違いとして、ペアガラスがガラス一枚分のスペースしか空気層を持てないのに対して、二重窓は外窓と内窓の間に大きな空気層を確保できます。

ペアガラスについてはペアガラスの解説記事も参考にしてください。


二重窓の効果──メーカーデータと現場の実感

二重窓の効果について、窓メーカーYKK APの内窓「ウチリモ」のデータをご紹介します。

防音効果については、約15dBの騒音低減効果があります。人間の耳は10dBで音が半分に減ったように感じると言われています。15dBというのは、主要幹線道路の騒音(80dB)を図書館レベルにまで抑えられる計算になります。電車の音・救急車の音・犬の鳴き声など、窓から入ってくる音が体感的に半分以下になります。

現場の実感として、二重窓の断熱・防音効果に期待と現実のギャップを感じたことはありません。最近の二重窓は本当によくできており、特に外窓がアルミサッシであっても内窓を樹脂サッシにすることで、断熱性が大幅に向上します。カーテンも設置しやすくなり、サッシの色も選べます。

分譲マンションの買取再販業者がリノベーション時に内窓を取り入れることが多いのも、費用対効果が高いからです。フルリノベーションするほどでもない物件でも、内窓を入れるだけで居住性が大きく変わります。

防音効果を最大化するための注意点

ただし一点、知っておいてほしいことがあります。内窓を設置しても、部屋にいくつかある窓のうち一か所だけを二重窓にした場合、防音効果は限定的になる、ということです。

音は最も弱い部分から入ってきます。例えばリビングに掃き出し窓と小窓が2か所あって、掃き出し窓だけを内窓にした場合、音は内窓を設置していない小窓から入り続けます。防音効果を実感するには、同じ空間の窓を全て内窓化することが理想です。内見時には「この部屋の窓は全て内窓になっていますか」を確認してください。

同様に、壁・床・天井の遮音性能も音の伝わりに影響します。窓の防音を強化しても、薄い壁から音が入るケースがあります。道路沿い・線路沿いの物件では、建物全体の遮音性能と合わせて判断することをお勧めします。


福岡エリアの二重窓付き物件の実態

福岡エリアで二重窓・内窓付き物件を積極的に探すと、選択肢は非常に限られます。少し古い分譲マンションの出窓部分などに付いているケースが多い印象ですが、流通量はかなり少ないです。

現実的には「二重窓付き物件を探す」より「気に入った物件に内窓が付いていた」または「入居後に後付けする」というアプローチの方が選択肢が広がります。分譲賃貸・リノベーション済み物件では内窓が設置されているケースが比較的多いため、こうした物件を中心に探してみることをお勧めします。

分譲賃貸の解説記事リノベーション済み物件の解説記事も参考にしてください。


二重窓・内窓を後付けしたい場合の手順と落とし穴

現在住んでいる物件に内窓を後付けしたい場合、以下の手順で進めてください。

①家主への許可取得と覚書の締結

後付けには家主の許可が必要です。許可が出た場合、覚書の締結が必須です。覚書には退去時の原状回復の扱い(撤去が必要か・免責が認められるか)を明記します。口頭での許可だけでは退去時にトラブルになるリスクがあります。

原状回復については原則として撤去が必要ですが、家主が免責を認めた場合は内窓を残したまま退去できることがあります。この判断は家主次第です。

②施工は管理会社・家主指定の業者に依頼する

ここが最大の落とし穴です。表現が露骨になってしまいますが、「入居者に全部やらせると、ろくなことにならない」というのが現場の実感です。採寸のミス・取り付け精度の問題・窓枠への負荷など、素人施工ではトラブルが起きやすいです。

管理会社や家主指定の業者に依頼することが基本です。費用はかかりますが、仕上がりの品質・退去時のトラブル回避という観点から正しい選択です。

③補助金の活用

国の「先進的窓リノベ2026事業」として、内窓設置は補助金の対象になりやすいです。3か所の内窓設置で参考価格約31万円に対して、補助額が12万円程度になるケースもあります(YKK AP「ウチリモ 内窓」3か所・戸建Sグレードの場合)。指定業者に依頼することで補助金申請もスムーズになります。費用を指定業者への依頼で節約できる可能性があります。

店長の独り言

「実際に内窓をつけるとか、賃貸物件で造作しようなんて人いるの?と思われるかもしれませんが、実は結構いらっしゃいます。

相談を受ける管理会社の感想としては、可能な限り期待に沿ってあげたい、と考えています。

内窓などは確かに費用がかかるほか、物理的に設置できるかという論点もあるため、まだマイナーな設備かもしれません。しかし、ご高齢の方のご入居となれば、手すりをつけたいというご要望はよくいただきます。

住む人にとって良い環境にすべく、原状回復工事などでバリューアップを図ったりしていますが、やっぱりこういった生の声は大切にしていきたいと考えています。それが、入居者のためであり、ひいては建物の価値向上につながると考えています。」


内見・契約前の確認ポイント

1. ペアガラスか内窓かを確認する 内側にもう一つ窓枠が設置されているかどうかで判断できます。「内窓ですか、ペアガラスですか」と直接担当者に確認してください。

2. 設置されている窓の範囲を確認する 防音効果を期待するなら、その部屋の窓が全て内窓化されているかを確認してください。一部の窓だけの場合は効果が限定的になります。

3. 後付けを検討するなら覚書・指定業者の確認を 許可取得と覚書締結のフローを確認したうえで、家主・管理会社が指定する施工業者を把握してください。

内見チェックリスト重要事項説明書の確認ポイントも参考にしてください。


向いている人・向いていない人

向いている人

断熱・防音・結露防止を重視する方に二重窓付き物件は明確なメリットがあります。道路沿い・線路沿いで騒音が気になる立地でも、内窓があることで快適に住める可能性が高まります。光熱費を抑えたい方、冬の結露によるカビ問題に悩んでいる方にも向いています。

向いていない人

掃き出し窓を頻繁に使う方(ベランダへの出入りが多い方)は、開閉が二重になる手間をストレスに感じる場合があります。また内窓は室内側に10センチ以上張り出すため、窓周りに圧迫感が出ることがあります。窓際のスペースを有効活用したい方は内見時に確認してください。

二重窓はリノベーションするほどでもない物件に入居後に施工するだけで、断熱・防音・結露防止の全てを改善できる費用対効果の高い設備です。付いていれば積極的に評価し、付いていない物件でも後付けを検討する価値があります。

この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

「ネットの情報だけでは不安…」「自分の初期費用や退去費用の見積もりが妥当か見てほしい」「不動産を売却したい」「不動産投資を始めたい」という個人のお客様から、大手メディア様・不動産業者様からの記事監修や執筆、お仕事のご依頼まで、幅広くお受けしております。

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