
「相続した実家をどうしたらいいかわからない」「固定資産税だけ払い続けているが、使い道がない」「売りに出したが、まったく反応がない」
筑後市・柳川市・みやま市・広川町・八女市エリアでも、こういったご相談が年々増えています。
いらない不動産を抱えることの辛さは、お金の問題だけではありません。管理の手間、近隣への申し訳なさ、将来子どもに残してしまうかもしれないという不安、そういった重荷を長年背負い続けている方が、このエリアにも大勢います。
この記事では、現役店長として農地・再建築不可・市街化調整区域・空き家・共有持分など、あらゆる「いらない不動産」の処分に実際に取り組んできた立場から、現場で使っている出口と、知っておきたい現実をお伝えします。
いらない不動産、このエリアではどんなケースが多いのか
筑後・柳川・みやま・八女エリアで「いらない不動産」としてご相談いただく物件は、本当にバラエティに富んでいます。農地(田畑)・山林・再建築不可の戸建て・市街化調整区域の土地・長期放置の空き家・共有持分など、このエリアに関して言えば、そのほぼすべてのパターンが日常的に持ち込まれます。一言で表せば「全部です」というのが正直なところです。
中でも多いのが、市街化調整区域と農地です。このエリアは田畑が多く、農地法の制約があるために一般の方への売却が難しい物件が少なくありません。市街化調整区域は原則として新たな建築ができないため、買い手が限られます。この2つは法的な性質が異なりますが、現場の感覚では「扱いが難しい」という点でほぼ同じカテゴリーと言っていいでしょう。
共有持分の問題も増えています。相続を経て、兄弟姉妹や親族間で持分が分かれた不動産は、全員の合意なしに売却できません。一人が売りたくても他の共有者が動かない、連絡がとれないというケースは実務上よく発生します。「不動産の問題というより、人間関係の問題」と言った方が正確かもしれません。
「相続土地国庫帰属制度」は現実的な選択肢ではない
2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」が始まり、「これでいらない土地を引き取ってもらえる!」と期待された方も多いのではないでしょうか。しかし、現場の肌感覚として言えば、この制度を一般の売れない不動産の処分で使うケースは、ほぼ皆無だと思っています。
理由はシンプルで、国が引き取るための要件が厳しすぎるからです。建物がない・境界が確定している・土壌汚染がないといった「綺麗な土地」なら、わざわざ国にお金を払って(負担金を納めて)引き取ってもらわなくても、普通に市場で売れます。買い手はすぐに見つかります。
逆に、皆さんが本当に処分に困っている「古い家が建ったまま」「境界も曖昧な農地」「再建築不可の土地」は、最初からこの制度の対象外になるケースがほとんどです。制度に期待して時間を無駄にするより、最初から民間での出口を探す方が現実的です。
店長の独り言
「国庫帰属制度は良い制度であることは間違いありません。しかし、現実的に使いどころがないのです。
これは、不動産会社だからというポジショントークではなく、本当にそうなんです。
例えば、国庫帰属制度ではそもそも建物があると帰属させることができません。この時点でおおよそ半分くらいの人が脱落してしまうのです。解体費用は年々上がっていますので、残置物の撤去と解体費用で一戸建てであっても200~300万円かかります。
いや、そのお金が出せるならそもそも国庫帰属制度なんて利用しないよ、っていう話なんですよ。」
筑後・柳川・みやま・八女エリアで実際に使っている不動産の出口
いらない不動産だからといって、手放せないわけではありません。物件の種類によって使える出口が変わります。やることは全部やる、というのが基本スタンスです。
農地|農業委員会とのパイプが命
農地の売買は農地法の規制があり、農家や農業法人でなければ原則として購入できません。農地転用の手続きを経なければ宅地として売ることもできず、手続きには時間もコストもかかります。ぶっちゃけた話、農業委員会との交渉は一筋縄ではいきません。地元の人間関係や過去の経緯が絡むからです。
ただ、農地だから手放せないわけではありません。農業委員会に持ち込んで転用の可能性を確認したり、小作人(農地を借りて耕作してくれる方)を探したりという動きが実務では有効です。農業委員会とのパイプがあれば、こういった手が打てます。
正直に言うと、農地の処分は利益になりません。手間と時間がかかる割に仲介手数料が低く、無償に近い形での引き渡しになることもあります。それでもやります。お客様の重荷を取り除くことが最優先ですし、農地を処分できた後に「実は家も売りたい」という話が続くことも多いからです。
再建築不可・狭小地・接道問題|隣地への打診が最初の一手
再建築不可物件や接道不備の土地は、一般の買い手への売却が難しいです。ただ、隣地の所有者にとっては価値が全然違います。自分の土地に接する土地を取得できれば、敷地が広がる・接道を確保できる・建て替えが可能になるなど、メリットが大きいからです。
まず隣地に買取を打診する、これが最初の一手です。面白いことに、打診に行くと逆に「うちの土地も買ってくれ」と言われることがあります。嘘みたいな話ですが、このエリアの限界集落や古い住宅街では本当によくある「相打ち」のリアルです。隣地の方も同じように処分に困っていた、ということです。こういった出会いから話が動き出すこともあります。
店長の独り言
「不動産会社の社員として、現場に赴くことの重要性は何度も解説してきました。これは誇張でも営業でもなく、本当に現場で話が一気に動き出した経験は何度もあります。
その土地を売るなら私に売ってください。
その土地を売るついでの私の土地も売ってください。
ちょうど息子のために隣の土地が欲しかった。
このような声は現地に行かないと生まれてきません。そして、柳川市・みやま市・筑後市・八女市などの郊外エリアほど、現地から生まれた声によって問題が解決する可能性が一気に高まるのです。」
市街化調整区域|隣接農家と既存宅地の確認から
市街化調整区域は原則として一般の方への売却ができません。ただ、隣接する農家であれば購入できるケースがあります。また、既存宅地として認められている物件であれば、条件次第で売却できる可能性があります。エリアの都市計画の詳細を確認してから動くことが重要で、ここは手順を間違えると無駄な時間を使うことになります。
店長の独り言
「市街化調整区域であっても、資材置き場や駐車場で利用できる可能性はあります。また、農地と重なっていても、転用の可能性は残されています。
過去の実例ですが、一種農地であっても、近隣にある保育園の駐車場として転用することができた事例もあります。
これは無理だな、と思わずに、まずは相談してみてください。もちろん絶対にとは言えませんが、できることを全部やってからでも、あきらめるのは遅くありません。
使いようがない土地や建物を早く処分したいと思っている人は、こちらからお問い合わせください。」
空き家・放置物件|動くなら早いほどいい
建物が残っている空き家は、時間が経つほど状態が悪化します。建物に価値がある間に動く、これが最大のポイントです。後で触れますが、動くのを先延ばしにしたことで選択肢が大きく狭まったケースを、現場で何度も見てきました。
共有持分|まず全員の意向確認から
共有持分の問題は、不動産の問題というより人間関係の問題です。まず共有者全員の意向を確認し、売却・保有・分割のいずれかで合意を形成することが先決です。話し合いが難しい場合は、弁護士や司法書士への相談を検討した方がいいでしょう。持分だけの売却という選択肢もありますが、買い手が限られて価格も下がります。
不動産を放置するリスク|柳川の庄屋跡で本当に起きた事例
いらない不動産を「とりあえず放置」することは、問題の先送りにしかなりません。時間が経っても何も解決しないどころか、状況は確実に悪化していきます。
このエリアで実際に見てきたケースをお話しします。柳川エリアにある古い庄屋の跡地です。広大な敷地に古い建物が残っており、長年放置されていました。やがて近隣から「管理されていない、危ない」という苦情が入るようになり、最終的には市からも指摘が入りました。
特定空家に指定されると、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が最大6倍になる可能性があります。さらに行政代執行(強制撤去)という事態になれば、莫大な費用を請求されることになります。そこまで追い込まれて、ようやく重い腰を上げてご相談にいらっしゃいました。
放置している間も、草は伸び、建物は傷み、近隣との関係は悪化していきます。「どうしようもなくなってから動く」では、選べる手段が大きく減っているというのが現実です。
一番の売り時を逃した後、二番目の売り時はいつか
「あのとき、少額でもいいから売っておけばよかった……」
ご相談に来られる方の多くが、こういった後悔を口にされます。数年前ならまだ建物に価値があった、近隣の人口が今より多くて買い手がいた、というのは事実かもしれません。一番の売り時を逃してしまったのは、変えられない事実です。
ただ、過ぎた過去には戻れませんよね。
では、二番目の売り時はいつなのか。私は「今この瞬間」だと断言します。
ご相談にいらっしゃる時点で、時間が問題を解決しないことはすでに立証されています。放置した年月がそれを証明しています。これ以上時間を置いても、建物はさらに劣化し、エリアの人口はさらに減り、買い手はさらに絞られます。「もう少し様子を見よう」は、状況をさらに悪化させるだけです。
動くなら今です。
いらない不動産は、動いた人から解決する
いらない不動産の処分は、物件の種類・エリア・法的制限によって対応が変わります。農地・再建築不可・市街化調整区域・空き家・共有持分、それぞれに使える手段があります。すべての物件に「出口なし」はありません。
相続土地国庫帰属制度は現実的な選択肢ではなく、実際に使える物件はほぼ売れる物件です。放置することは問題の先送りにしかならず、特定空家指定や行政代執行というリスクも現実にあります。
一番の売り時を逃したとしても、二番目の売り時は今です。まず動いてみてください。筑後・柳川・みやま・八女エリアでのご相談は、当サイトの問い合わせ窓口からもお受けしています。
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記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
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