
不動産会社に売却を依頼した後、あなたは何をして待っていますか。
「連絡がこない」「何をしてくれているのかわからない」と感じながら、ただ待ち続けている売主は少なくありません。でも実はその「待っている時間」が、売却の成否を大きく左右していることがあります。不動産会社が動いているかどうか、正しく動いているかどうかを判断できなければ、気づかないうちに機会を逃してしまうからです。
媒介契約後に不動産会社が何をしているのかを知ることは、丸投げして待つより格段に有利な立場に立つことができるのです。
この記事では、筑後市・柳川市・みやま市・広川町・八女市エリアで現役店長として日々売却活動に取り組んでいる立場から、媒介契約後の動きを時系列で本音でお伝えします。
「連絡がこない」の本当の理由と、良い不動産会社の見極め方も合わせて解説します。
媒介契約後、不動産会社が最初にやること
「媒介契約を結んだらすぐにレインズ(不動産会社間の情報共有システム)に登録して、ポータルサイトに掲載する」というイメージを持っている方が多いかもしれません。実際はその前にやることがあります。
売却を依頼してから、どのような動きを不動産会社の担当者はしているのでしょうか。
まずは、売却活動における一歩目を不動産会社の目線でチェックしてみましょう。
ステップ① 物件の調査——役場調査がメイン
まず最初にやるのは物件の調査です。役場での調査がメインになります。
確認する内容は多岐にわたります。接道状況(道路との関係)、上下水道の接続状況と配管、都市計画区域・用途地域、埋蔵文化財の有無、固定資産税の状況など、これらをこの段階でできる限り確認しておきます。最近はネット上でかなりの情報が拾えるようになりましたが、役場での直接確認が必要な項目も少なくありません。
この調査が重要事項説明書の土台になるものですが、もっと言えばこれら調査をしないことには物件情報を掲載することすらできません。物件の法的な状況を正確に把握せずに売却活動を始めると、後から問題が発覚してトラブルになるリスクがあるため、実は非常に重要なステップなのです。
ステップ② 水面下での声がけ——レインズ登録より先
調査が終わったら、まずは水面下でお客様や業者に声がけをします。「こういう物件が出ましたがいかがですか」という形で、既存のお客様や業者のネットワークに情報を流します。
レインズ登録やポータルサイトへの掲載はその後です。
なぜ水面下が先かというと、既存のお客様や業者への打診の方が成約確率が高く、話もスムーズに進みやすいからです。また、買い手候補が先に見つかれば、ポータルへの掲載費用もかからないというメリットもあります。
ステップ③ レインズ登録・ポータル掲載・チラシ
水面下の反応を確認しながら、レインズへの登録・ポータルサイトへの掲載・チラシ配布といった広報活動に移ります。専任媒介であれば7日以内、専属専任媒介であれば5日以内にレインズへの登録義務があります。
ポータルサイトの掲載では、写真の質と枚数・物件コメントの内容・価格設定が重要です。掲載の質によって反響数が大きく変わります。
【店長の独り言】
「水面下での声がけを先にやる理由は、シンプルに『早く決めたいから』です。もちろん、仲介手数料を売主と買主の両方からほしい、というやましい理由もちゃんとあります。
レインズやポータルに出してから買い手を待つより、すでに関係のある業者やお客様に打診する方が話が早く、即日で決まることも珍しくありません。逆に言えば、この水面下ネットワークがない会社は、最初からポータル任せになりがちです。」
「連絡がこない」の本当の理由
売主から「何もしてくれない」「連絡がこない」という声が出る理由は、不動産会社の怠慢だけではありません。売主側に原因があるケースも実は少なくないのです。
パターン① 調査への協力が得られない
役場調査をするには売主の委任状が必要なケースがあります。固定資産税の支払通知書があると、地番や字図の確認がスピーディになります。登記情報をこちらで一から取得する手間が省けるからです。必須ではありませんが、こういった書類をスムーズに提供してもらえると、調査のペースが大きく変わります。逆に「書類を探すのが面倒」と後回しにされると、その分だけ活動開始が遅れることがあります。
パターン② 売却条件が決まっていない
残置物をどうするか、未登記の建物は解体するのか登記するのか、インフラの接続費用は誰が負担するのか。
ちょっと細かい話になりますが、こういった条件が決まっていないと、買い手候補に提示できる情報が不完全になります。「費用を確認してから考えます」「ご要望があれば考えます」と言われてそのまま、というケースが結構あります。
不動産会社の目線で言えば、条件が決まらない間は、不動産会社としても積極的な活動がしにくいのです。
ポータルサイトでもふれんずでも、情報がスカスカの物件には問い合わせが入りにくいです。逆の立場で考えてみてください。写真が少ない・条件が不明瞭・引き渡し条件が書いていない物件と、しっかりと情報が揃っている物件、どちらに問い合わせをしたいと思うか。
売却条件を早めに整理することは、掲載の質を上げることに直結します。ひいては、早期売却に一歩近づく、と考えてよいでしょう。
パターン③ 単純に物件が売れにくい
需要が限られるエリアや条件の難しい物件の場合、活動していても反響が来ないことがあります。「連絡がこない=何もしていない」ではなく、「活動しているが動きがない」という状態です。この場合は価格の見直しや売り方の変更を提案してくれる会社かどうかが重要になります。
良い不動産会社が媒介後にやっていること
リアルタイムで反響を共有する仕組み
今の時代、売却活動の報告は定期レポートだけでは不十分だと思っています。問い合わせが入った瞬間に売主も確認できるマイページやアプリ連携があると、売主は活動状況をリアルタイムで把握できます。
定期報告書の作成は実は手間がかかります。DX(デジタル化)が進んでいる会社はその手間を省いて他のことに時間を使えるため、活動の質が上がります。すべての物件がすぐに売れるわけではなく、時間がかかる案件も必ずあります。そういった案件を抱えながら効率よく動けるかどうかは、デジタルツールの活用度に差が出ます。
「次に何をすべきか」を提示してくれる
良い不動産会社は、活動報告だけでなく「次のアクション」を提示してくれます。
早く売りたいなら、価格を積極的に提示して買取業者をラウンドし、そのフィードバックをお伝えする。高値で売りたいなら、価値を上げるために手を加えるポイントを提案する。売主の意向に合わせて、具体的な次の手を示してくれる会社かどうかが、長期的な売却活動の質を左右します。
「様子を見ましょう」という言葉しかない会社と、「この時期までに動きがなければこうしましょう」と具体的なスケジュールを示してくれる会社では、売主の安心感も結果も変わってきます。
また、業者によっては「一定期間内に売れなかった場合は自社で買い取る」という買取保証を提示してくれるところもあります。一般仲介で市場に出してリミットが来たら買取保証に切り替える、というコースがあるかどうかを事前に確認しておくのもひとつの方法です。
ただし注意点があります。第三者の買取業者に仲介する形の「買取保証」は、結局安売りになりやすいです。自社で買い取ってもらえるかどうかが重要なポイントです。自社買取ができる会社であれば、仲介での売却と買取の両方の選択肢を持ちながら進められます。
売主としてできること——調査・条件決定に早めに協力する
媒介契約後の活動をスムーズに進めるために、売主としてできることがあります。
委任状は早めに用意する。固定資産税の通知書や権利証など、調査に必要な書類は求められたら速やかに提供する。残置物・未登記建物・インフラの接続状況など、売却条件に関わる事項は早めに整理して決める。
もうひとつ、媒介契約の時点で告知書と設備概要書をセットで確認する不動産会社は「やるな」と思います。
告知書は物件の不具合や瑕疵を申告する書類、設備概要書はエアコン・給湯器・建具などの設備状況をまとめた書類です。これらが最初から揃っていると、後から「あの設備は動きますか」「雨漏りはありましたか」という確認が不要になり、活動がスムーズに進みます。
逆に言えば、媒介契約の時点でこれらの書類を用意するよう求めてくる不動産会社は、それだけ丁寧に仕事をしているということでもあります。良い不動産会社を見極めるひとつの判断材料にもなります。
まとめ——媒介契約後は「ブラックボックス」にしない
不動産会社が媒介契約後にやることは、物件調査→水面下の声がけ→レインズ登録・ポータル掲載という順番で動いています。「連絡がこない」の原因は不動産会社の怠慢だけでなく、調査への協力不足や売却条件の未決定という売主側の事情も絡んでいます。
良い不動産会社は、リアルタイムで反響を共有し、次のアクションを具体的に提示してくれます。媒介契約後をブラックボックスにせず、不動産会社と一緒に進めていくことが売却成功への近道です。
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この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
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