
賃貸の設備が突然壊れたとき、「どこに電話すればいいのか」と焦った経験はありませんか?
結論から言えば、連絡先は管理会社一択です。仲介してくれた不動産会社でも、家主さんでもなく、管理会社が正しい窓口になります。
ただし、それだけ知っていても「管理会社の連絡先がわからない」「夜中に故障した場合はどうするのか」「費用は誰が払うのか」という疑問は残ります。賃貸業界20年以上・現役店長の立場から、設備別の緊急度と正しい連絡手順を一本にまとめて解説します。
この記事でわかること
- なぜ管理会社に連絡するのが正解なのか、その理由と仕組み
- 設備別の緊急度と、連絡するときに伝えるべきこと
- 夜間・休日に故障した場合の対処フロー
- 管理会社が動かないときの次の手
賃貸の設備故障、連絡先は「管理会社」一択の理由
賃貸物件の設備は、法律上「貸主(家主)の所有物」です。民法606条では、貸主は賃貸物件の設備を修繕する義務を負うと定められています。つまり、設備が壊れたときの修理手配と費用負担は、原則として家主さん側の話になります。
ここで「なら家主さんに直接連絡すればいいのでは?」と思うかもしれません。ところが多くの賃貸物件では、家主さんが管理会社に管理業務を委託しています。修繕業者の手配・費用の承認・入居者への連絡、これらすべてを管理会社が一手に担っています。家主さんを飛び越して自分で業者を手配すると、費用を家主さんに負担してもらえなくなるリスクがあります。
店長の独り言
「自分で業者を呼んで高額を請求された、という入居者の方を何人も見てきました。自分で手配した業者はその会社との取引が初めてになるため割高になりやすく、夜間・休日の緊急対応であればなおさらです。
管理会社を通せば、提携業者に適正価格で依頼できますし、いつもよりも高額な費用負担を申し入れれば、家主が断りたくなる気持ちもわからなくもないです。
入居者・家主・管理会社、三者にとって経済合理性があるのが「まず管理会社へ」という手順の本質です。」
仲介会社と管理会社は別の会社であることが多い
「契約のとき担当してくれた不動産会社に連絡すればいい」と思っている方は要注意です。部屋を紹介してくれた仲介会社と、入居後の管理を担当する管理会社は、別の会社であることがほとんどです。仲介会社に故障の連絡をしても「管理会社にお問い合わせください」と言われるだけで、対応が遅れます。
管理会社の連絡先は、入居時に渡された書類の中にあります。賃貸借契約書の「管理業者」欄、または重要事項説明書の「管理の委託先」の項目を確認してください。わからない場合は、毎月家賃を振り込んでいる口座名義が管理会社になっていることが多いです。
設備別の緊急度と連絡の優先度
設備故障にはすぐに動くべきものと、翌日以降でも問題ないものがあります。緊急度を間違えると、被害が広がったり、逆に深夜に不要な連絡をしてしまうことになります。
| 設備 | 緊急度 | 理由 |
|---|---|---|
| 給湯器 | ★★★ 最高 | ガス漏れが併発している可能性がある。お湯だけでなくガスの安全確認が必要 |
| 水漏れ(洗面・キッチン・洗濯) | ★★★ 最高 | 階下への漏水に発展すると損害賠償問題になる可能性がある |
| トイレ | ★★★ 最高 | 使用不能は生活の根幹に関わる。代替がきかない設備 |
| ブレーカー・電気系統 | ★★★ 最高 | 漏電が疑われる場合は火災・感電の危険がある。一部の電気が落ちているだけでも速やかに連絡を |
| エアコン | ★★ 高(真夏・真冬は★★★) | 健康被害の恐れがある季節は緊急度が上がる。乳幼児・高齢者がいる場合も同様 |
| お風呂・シャワー | ★★ 高 | 給湯器の故障と連動していることが多い。症状の切り分けが必要 |
| コンロ・IH | ★★ 高 | 調理ができない状態は生活に直結する。ガスコンロの場合はガス漏れの確認を先に |
| 換気扇・浴室乾燥 | ★ 中 | 生活への影響は限定的。翌営業日に連絡で問題ない |
| 照明 | ★ 中 | 電球切れは借主対応。設備本体の不具合は翌営業日の連絡で問題ない場合が多い |
店長の独り言
「給湯器の故障でガス漏れが疑われる場合は、管理会社より先にガス会社の緊急連絡先に電話してください。ガスコンロの側面や給湯器本体にシールが貼ってあります。窓を開けて換気し、室内でのスイッチ操作は避けること。
実際、ガス漏れなどはそうそう発生するものではありません。しかし、万が一にもガス漏れが発生すれば大事故に発展しかねません。少しでも疑いがあるときは、必ず換気のうえ、室外からガス会社へ連絡し、指示を仰いでください。」
設備が「初期設備」か「残置物」かで費用負担が変わる
連絡する前に一つだけ確認してほしいことがあります。故障した設備が「初期設備」か「残置物」かの区別です。
初期設備とは、入居前から部屋に設置されている設備のことです。エアコン・給湯器・トイレ・浴室・コンロ・洗面台などが該当します。これらが故障した場合、経年劣化や自然故障であれば貸主(管理会社・家主)の負担で修理してもらえます。
残置物(サービス設置品)とは、前の入居者が退去時に置いていったもので、貸主が「使いたければどうぞ」という形で残しているものです。残置物が故障しても、管理会社には修理の義務がなく、自分で対処することになります。どちらか判断がつかない場合は、入居時の重要事項説明書に記載があります。
管理会社への連絡で伝えるべき5つのこと
管理会社に連絡する前に以下の5点を整理しておくと、対応が格段にスムーズになります。
①どの設備か:「エアコン」「給湯器」など設備の名前を具体的に。
②いつから気づいたか:「今朝から」「昨夜使ったときは問題なかった」など。
③症状の具体的な説明:「電源が入らない」「水が止まらない」「異音がする」など。
④写真・動画を撮っておく:文字で伝えにくい症状は画像が最も早い。メールやアプリで送れると話が進みやすい。
⑤自分では触っていない:修理を試みて悪化した場合、借主過失とみなされるリスクがある。
店長の独り言
「設備の種類・症状・発生時期の3点が揃うと、管理会社の側では『社員が一度現地を確認すべき案件か、業者を直接手配できる案件か』の判断がつきやすくなります。
明らかに故障しているなら業者を即手配できますが、『なんとなくおかしい』程度であれば、家主が点検費用を承認してくれないケースもあるため、まず管理会社が確認しに行くという流れになることもあります。
情報が揃っているほど、その判断が速くなる。それが対応スピードに直結するのです。」
夜間・休日に設備が故障した場合の対処フロー
管理会社の営業時間外に故障が発生した場合、どう動けばいいのかを整理します。まず知っておいてほしいのは、管理会社によって定休日・営業時間・緊急連絡先の体制がまったく異なるという点です。大手管理会社は土日も対応していることが多いですが、地域の不動産会社が管理を兼ねている物件では水曜定休・夕方以降は繋がらない、というケースも珍しくありません。
店長の独り言
「時間外に電話して留守電になっても、すぐに切らないでください。最後まで聞くと、夜間緊急連絡先や別の担当者の番号が音声案内されているケースがよくあります。管理会社によっては入居者専用ダイヤルを別途設けているところもあり、それが契約書ではなく入居時のご案内資料にだけ記載されていることもあります。
引越し当日にもらった書類は、一度まとめて目を通しておくほか、管理会社の連絡先は携帯電話にメモリ登録するようにしてください。」
管理会社の緊急連絡先を探す方法は複数あります。賃貸借契約書・重要事項説明書の「管理の委託先」欄、マンション・アパートのエントランスや掲示板、そして管理会社名がわかればインターネットで検索して代表番号に電話し、緊急時の案内を確認する方法もあります。
STEP2:24時間サポートサービスを確認する
入居時に加入した火災保険や24時間入居サポートサービスに緊急対応が含まれている場合があります。保険証券や入居時の書類を確認してください。鍵のトラブル・水漏れ・ガラス破損などは対応範囲に含まれていることが多いですが、給湯器の故障などは対象外のサービスもあるため、内容の確認が必要です。
STEP3:やむを得ず自分で業者を手配する場合
給湯器のガス漏れや、階下への漏水が進行しているような緊急事態では、管理会社の連絡を待てないケースもあります。民法608条に基づき、入居者が緊急修繕をして費用を貸主に請求する権利があります。ただし、必ず領収書を取っておくことと、修理後に管理会社へ事後報告することが必須です。また指定業者がある物件では費用の取り扱いが変わることがあるため、後日確認が必要です。
管理会社が対応してくれない・対応が遅いときの対処法
連絡したのに数日経っても動きがない、という場合は、以下の順番で対処してください。
まず再度連絡し「生活に支障が出ている」という状況を明確に伝えます。最初の連絡で緊急度が正確に伝わっていないケースが多いです。「トイレが使えない」「真夏にエアコンがない」という状況は、管理会社にとっても早急な対応が必要な案件として認識されます。
それでも動きがない場合は、内容証明や書面での催告という手段があります。また、国土交通省が設置している「住まいのトラブル相談窓口」や各都道府県の宅建業協会への相談も選択肢です。家賃の減額請求については、2020年の民法改正によって入居者の権利として明文化されており、修繕が行われない期間の家賃を減額できる場合があります。
設備別の詳しい対処法はこちら
各設備の症状別の対処法・費用負担の考え方・管理会社への伝え方については、それぞれの記事で詳しく解説しています。
📋 設備別の故障対応記事一覧
- 賃貸の給湯器が故障したときの対処法と費用負担(緊急度:最高)
- 賃貸のトイレが故障したときの対処法と費用負担(緊急度:最高)
- 賃貸のエアコンが故障したときの対処法と費用負担(緊急度:高)
- 賃貸のお風呂・シャワーが故障したときの対処法と費用負担(緊急度:高)
- 賃貸のキッチン水まわりが故障したときの対処法と費用負担(緊急度:高)
- 賃貸のコンロ・換気扇が故障したときの対処法と費用負担(緊急度:高)
- 賃貸の洗面台・洗濯パンが故障したときの対処法と費用負担(緊急度:高)
よくある質問
管理会社の連絡先がわからないときはどうすればいいですか?
賃貸借契約書の「管理業者」欄、または重要事項説明書の「管理の委託先」を確認してください。書類がすぐに見つからない場合は、毎月家賃を振り込んでいる口座名義が管理会社であることが多いです。マンションのエントランスや掲示板に掲示されているケース、会社名がわかればインターネットで検索できるケースもあります。
故障を放置するとどうなりますか?
故障に気づいているのに連絡しないまま放置し、被害が拡大した場合、その悪化した部分について借主の負担となるケースがあります。特に水漏れは放置すると床・壁・下の階への被害に発展し、損害賠償問題につながる可能性があります。小さな不具合でも、気づいた時点で管理会社に連絡するのが自分を守ることにもなります。
自分の過失で壊してしまった場合はどうすればいいですか?
過失による故障であっても、まず管理会社に連絡するという手順は同じです。自分で業者を手配する前に必ず連絡を入れてください。費用負担については、火災保険の借家人賠償責任補償が使えるケースがあります。保険証券を確認するか、管理会社に相談してみてください。
まとめ
賃貸で設備が故障したときの連絡先は、管理会社一択です。仲介会社でも家主さんでもなく、管理会社に連絡することで費用負担のリスクを回避し、対応をスムーズに進められます。給湯器・水漏れ・トイレ・ブレーカーは緊急度が高く、夜間・休日でも一報を入れることが重要です。
時間外に電話して留守電になっても最後まで聞けば緊急連絡先が案内されているケースがあります。やむを得ず自分で業者を手配した場合は、領収書の保管と事後報告を忘れずに。
各設備の詳細な症状別対処法は、上記の設備別記事でご確認ください。
この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
- ハウスコム(暮らしエイト):宅建士の視点から賃貸トラブル解決法を30本以上執筆
- CHINTAI(CHINTAI情報局):現場を知る店長としてお悩み解決記事を連載中