賃貸の鍵交換費用は誰が払う?いくらが相場?なくしたときは?鍵交換に関する疑問を現役店長が解説

賃貸の初期費用の明細に「鍵交換費用」という項目が入っていることがあります。

当たり前のような顔をしてこの項目が記載されていますが、そもそも「なぜ借りる側が鍵交換の費用を払うのか」「鍵交換費用を払いたくない」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

実は、国土交通省のガイドラインでは、鍵交換費用は「貸主が負担するのが妥当」とされています。それなのに現実には借主が払うケースがほとんどです。

この矛盾はなぜ生まれているのか、費用の相場はいくらなのか、交渉はできるのか、鍵をなくしたときはどうすればいい?宅建士歴20年以上の現役店長が現場の実態からお伝えします。

この記事でわかること

  • なぜ入居のたびに鍵交換が必要なのか
  • ガイドラインでは「貸主負担が妥当」なのに借主が払う理由
  • 鍵の種類別の費用相場
  • 鍵交換費用は交渉できるか——契約前にしかできないことがあります
  • 鍵交換費用が「仲介会社の独自請求」になるケース
  • 入居後に鍵を紛失したときの正しい対処法
目次

鍵交換を行う理由とは?

鍵交換の目的はシンプルで、防犯のためです。

例えば、前の入居者が退去する際に鍵を返却しても、合鍵を複製していた場合は室内に自由に侵入できてしまいますよね。また、退去後のリフォーム期間中に内装業者が複製している可能性もゼロではありません。

こうしたリスクを排除するために、入居者が変わるたびにシリンダー(鍵穴の部分、鍵を差し込むところ)を交換するのがスタンダードな対応となっています。

鍵交換をしない場合、管理会社から「鍵を交換しないことで生じたトラブルについては自己責任」という旨の念書を求められることがあります。防犯上のリスクを自分が引き受けることになりますし、管理会社も家主も何も手出しをすることができません。よほどの理由がない限りは交換しておくことをおすすめします。

店長の独り言

「かなり昔の話ですが、同じビル内でシリンダーをローテーションしたり、鍵をピカールで磨いて新品のように見せてお渡しする、といった悪しき慣習が一部に存在していたことがありました。現在はそのようなことをすれば一発で廃業につながりますので、まず行われていません。

交換しているかどうかは、鍵とシリンダーを見れば一目瞭然です。鍵は当然ピカピカですし、シリンダーも新しいものが設置されているはずです。鍵やシリンダーが明らかに古いものだったときは、交換していない可能性を疑ってよいでしょう。」

ガイドラインでは「貸主負担が妥当」——それでも借主が払う理由

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には、鍵交換について次のように記載されています。

「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、賃貸人(貸主)の負担とすることが妥当と考えられる」

つまりガイドライン様曰く「鍵交換は貸主が行うべき物件維持管理の一環だから貸主が負担したほうがいいかな」ということです。

しかし現実は違います。鍵交換は入居するときに借主の費用負担で行われています。理由としては、ガイドラインに法的拘束力がない、ということが考えられます。ガイドラインはあくまで一般的な基準を示したものであり、契約当事者が合意すれば、よほど一方に不利でない限り、別のルールを設けることができます。

賃貸借契約書の特約に「鍵交換費用は借主負担とする」と明記されていれば、その特約が有効になります。

これが「本来は貸主負担が妥当なのに、現実には借主が払う」という状況が生まれている構造的な理由です。

店長の独り言

「重要事項説明書に鍵交換費用の記載がないのに、決済金明細には記載がある。そういうケースがあります。

この場合、鍵交換を手配しているのが管理会社であれば問題ありませんが、仲介会社が管理も兼ねている場合や、個人家主が自主管理していて仲介会社に一任しているケースでは、仲介会社が独自に設定している費用である可能性があります。

重説に記載がない費用が明細に出てきたときは『これはどこへの支払いですか』と確認してみると、ひょっとすると不要な費用を払わずに済むかもしれません。」

鍵の種類と費用相場

鍵交換の費用は、使われているシリンダーの種類によって大きく変わります。事前に把握しておくと、明細を確認する際の判断材料になります。

鍵の種類特徴費用の目安
ディスクシリンダー
ピンシリンダー
最も一般的。アパート・マンションに多い1〜2万円程度
ディンプルキー表面に窪みがある。ピッキングに強く複製も困難1.5〜2万円程度
カードキー磁気カードで解錠。複製が難しく防犯性が高い1〜1.5万円程度
電子錠暗証番号・スマホ対応など。高機能タイプ2〜3.5万円程度

玄関が二重ロック(1つの玄関ドアに2つのシリンダーがついているタイプ)になっている物件では、2か所分の費用が発生します。また、オートロックが設置されている物件では、オートロックと玄関鍵の両方を開錠できるように、特殊なシリンダーを発注する必要があるため、少し高額になることがあります。

また、新しい物件ほど鍵交換費用が高額になると思いがちですが、意外と高額になるのが「古い戸建ての物件」です。玄関ドアとシリンダーが一体化していることがあるため、ハンドルごと交換しないといけないなどの理由で、高額になるケースもあります。

明細に記載された金額が鍵の種類に見合っているかどうかを確認してみてください。

店長の独り言

「分譲マンションなどでは、鍵交換業者が分譲マンションの管理組合で指定されていることがあります。そのときは、鍵交換費用が異常なまでに高額になることが稀にあります。」

鍵交換費用は交渉できるか——できるとしたら契約前だけです

結論から言えば、交渉できることはありますが、契約書にサインする前に限られます。特約に合意してサインした後では、その内容に従う必要があります。

交渉の方向性としては2パターンあります。

ひとつは「費用を貸主負担にしてほしい」という交渉です。ガイドラインを根拠に交渉できますが、管理会社・家主が応じるかどうかはケースバイケースです。繁忙期や人気物件では難しく、閑散期・長期空室の物件では応じてもらえる可能性があります。

もうひとつは「費用は払うが、鍵のグレードを上げてほしい」という交渉です。同じ費用を払うなら防犯性の高いディンプルキーに変えてもらう、という交渉は管理会社にとっても防犯上のメリットがあるため、応じてもらいやすい傾向があります。こちらの方が現実的な交渉といえます。

ただし、グレードアップは可能であっても、オートロックがついている物件では、オートロック用の鍵と玄関用の鍵の2本を持ち歩かないといけなくなることもあります。利便性と防犯面を天秤にかけ、費用対効果に見合った交渉をしてみてください。

入居後に鍵を紛失したときの正しい対処法

入居後に鍵をなくしてしまった場合、費用は借主の全額負担になります。対処の手順は以下の通りです。

①まず警察(交番)へ遺失届を提出する:誰かが届けてくれた場合に連絡が来ます。すぐに動くことで見つかる可能性が残ります。

②管理会社へ連絡して鍵交換を相談する:自分で勝手に鍵業者を呼んで交換してはいけません。鍵は借りているものであり、所有権は家主にあります。必ず管理会社を通じて手続きを進めてください。

③合鍵を無断で複製してはいけない:管理会社は貸し出した鍵を鍵番号と本数で管理しています。複製は個人で行うことも可能ですが、最近はメーカーに権限がある人(家主や管理会社)が依頼しないと複製できないような特殊な鍵が用いられていることも珍しくありません。

そのため、鍵は管理会社などに依頼して複製するのがよいでしょう。管理会社が「自分で複製してもいいですよ」と言ってくれた時に限り、ご自身で鍵屋さんに出向き複製を依頼してください。

鍵の紛失は火災保険の「個人賠償責任特約」で補償される場合があります。加入している火災保険の内容を確認してみてください。

まとめ

鍵交換費用はガイドラインでは貸主負担が妥当とされていますが、特約によって借主負担とする契約が広く行われています。

費用の相場は鍵の種類によって1〜3万円程度が目安で、交渉するなら契約書にサインする前が唯一のタイミングです。

「費用を払わない」より「同じ費用でグレードアップしてほしい」という交渉の方が通りやすいことも覚えておいてください。重説に記載のない費用が明細に出てきた場合は、誰への支払いなのかを確認することが大切です。

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この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

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