賃貸の更新料とは?相場・払わなくていいケース・更新時の総費用を現役店長が解説

賃貸物件に住んでいると、2年ごとに更新料の通知が届きます。

「毎月家賃を払っているのに、なぜさらにお金が必要なのか」——そう感じる方は多いはずです。

そもそも更新料とはいったいどのようなものでしょうか?そして、誰に対して払うものなのでしょうか?さらに、もしも更新料の支払いを怠ったらどうなるでしょうか?

この記事では、賃貸業界20年以上・現役宅建士の立場から、更新料の仕組み・相場・払わなくていいケース・更新時の総費用の実態まで、現場の本音で解説します。

ぜひ最後までお読みください。

この記事でわかること

  • 更新料とは何か・誰に払うのか
  • 更新料と更新事務手数料の違い
  • 更新時にかかる費用の全体像と実質月額への影響
  • 払わなくていいケース(最高裁判決の正確な趣旨)
  • 払わなかった場合のリスク(法定更新と契約解除)
  • 交渉が通るケース・通らないケース
目次

更新料とは何か——誰に払う・なぜ払う

更新料とは、賃貸借契約の期間が満了した後も同じ物件に住み続ける際に、契約更新の対価として支払うお金です。一般的には契約期間である2年ごとに発生し、支払先は家主(貸主)です。

最高裁判所(平成23年7月15日判決)は、更新料の法的性質について「賃料の補充ないし前払、賃貸借契約を継続するための対価等の趣旨を含む複合的な性質を有する」と判示しています。つまり法的には、更新料は実質的に家賃の一部という位置づけです。月々の家賃を低く抑える代わりに、2年に一度まとめて支払う費用、そう理解するのが正確です。

ただし現場の実態として、もう一つ知っておくべきことがあります。家主が更新料の設定に無関心・不要と思っていても、管理会社が収益として設定しているケースがあります。更新料は家主への支払いが原則ですが、管理会社が代理で受け取り、その一部を管理収益としている構造もあります。「誰が更新料を必要としているのか」は物件によって異なるため、疑問があれば管理会社に確認する価値があります。

店長の独り言

「『更新料は関東の慣習、福岡ではほとんどない』という情報をよく見かけますが、現在の市場では地域差より物件・管理会社差の方が大きいと感じています。

表現を変えれば、家主が設定していなくても管理会社が設定しているケースがあり、逆に首都圏でも更新料ゼロの物件は普通に存在している、そんな印象です。

『この地域だから更新料はないだろう』ではなく、内見や物件資料の提示段階で確認することが前提です。」

更新料と更新事務手数料の違い——払う相手が違う

更新時に請求される費用には、「更新料」と「更新事務手数料」の2種類があります。名前が似ていますが、支払先と目的がまったく異なります。

更新料更新事務手数料
支払先家主(貸主)管理会社・不動産会社
目的契約継続の対価書類作成・更新手続きの事務費用
相場家賃1ヶ月分約2万円(税別)
必須か契約書に記載があれば必要契約書に記載があれば必要

両方が同時に請求される(二重請求)物件は現場では非常に少ないです。多くの場合はどちらか一方です。ただし契約書に記載があれば両方請求されることもあるため、入居時の重要事項説明で必ず確認してください。

なお、更新事務手数料について一点補足があります。本来は家主が管理会社に支払うべき更新手続きの費用を、入居者に転嫁しているケースがあります。契約書に記載があれば法的には有効ですが、「なぜ私が払うのか」と思ったときは、その構造を理解した上で確認してみてください。

更新時にかかる費用の全体像——実質月額に換算するといくらか

更新のタイミングでは、更新料・更新事務手数料以外にも費用が発生します。家賃6万円の物件を例に整理します。

費用項目支払先目安金額
更新料家主6万円(家賃1か月分)
更新事務手数料管理会社約2万円(設定がある場合)
保証会社更新保証料保証会社1〜2万円
火災保険更新料保険会社1〜2万円
2年ごとの合計(目安)8〜10万円程度

2年間(24か月)で割ると、実質的な月額負担への上乗せは1,000〜1,500円程度です。「毎月の家賃に1,500円足した金額が、この物件の実質的なコスト」と理解すると、更新料なし物件との比較がしやすくなります。

更新料なし物件は一見お得に見えますが、その分が月々の家賃に上乗せされているケースや、保証料・管理費が高めに設定されているケースもあります。トータルコストで比較することが重要です。

店長の独り言

「更新のタイミングで『思ったより高い』と感じる方が多いのは、複数の費用が同時に請求されるからです。更新料だけ見ていると、事務手数料・保証料・火災保険料などが追加で来たときに驚くことになります。

入居前に『2年後の更新時にいくらかかるか』を試算しておくと、資金計画が立てやすくなります。」

更新料などを払わなくていいケースもある?

「更新料は法律で義務付けられていないから払わなくていい」という情報を見かけることがありますが、これは正確ではありません。最高裁平成23年7月15日判決は、以下の条件を満たす更新料特約を有効と判示しています。

  • 契約書に一義的かつ具体的に記載されていること
  • 更新料の額が高額に過ぎないこと
  • 借主が明確に合意していること

つまり「法律で義務付けられていない=払わなくていい」ではなく、「契約書に記載がなければ払わなくていい」「記載があれば原則払わなければならない」というのが正確な理解です。

払わなくていい可能性があるのは以下のケースです。

①契約書に更新料の記載がない、または記載が不明確な場合
重要事項説明書・賃貸借契約書の特約欄に更新料の金額や算定方法が具体的に記載されていなければ、支払義務は生じません。

②著しく高額な更新料が設定されている場合
最高裁は「高額に過ぎる場合は無効になり得る」としています。具体的な上限は示されていませんが、1年ごとに家賃3か月分超えるような設定は消費者契約法第10条の観点から争える余地があります。

店長の独り言

「『更新料は払わなくていい』という情報がSNSで拡散していますが、それは『契約書に記載がない場合』という前提があってのことです。契約書にサインした以上、記載された更新料は原則支払義務があります。入居前に契約書を読むことの重要性は、退去費用と同じです。」

払わなかったらどうなるか——法定更新と契約解除リスク

更新料を払わずに放置した場合、段階的にリスクが高まります。

法定更新という落とし穴

更新料を支払わないまま契約満了日を迎えると、「法定更新」という扱いになります。法定更新とは、当事者間の合意によらず、借地借家法の規定によって自動的に契約が更新されることです。

法定更新では契約期間の定めがなくなります。一見、住み続けられるように思えますが、家主は6ヶ月前の予告で契約解除を申し入れることができる状態になります(正当事由が必要ですが)。また法定更新の場合、更新料特約が適用されるかどうかについては裁判所の判断が分かれており、管理会社にとっても判断が難しい状況です。

合意して払わない場合は契約解除リスクがある

不動産流通推進センターの相談事例(更新の合意をしたにもかかわらず更新料を払わない場合の解除の可否)では、「合意した以上守らなければならない。不払いを継続すれば信頼関係破壊として契約解除の根拠になり得る」という見解が示されています。参考:公益財団法人不動産流通推進センター

更新に合意しておきながら更新料だけを払わない行為は、家主との信頼関係を損ない、最終的には契約解除・退去要求につながるリスクがあります。異議があるなら合意前に交渉するのが正しい順序です。

店長の独り言

「更新料を高額にすればするほど、管理会社は確かに儲かります。しかし、更新料が高額になればなるほど、入居者の退去リスクが増加することも事実です。

また、更新料が高額過ぎると消費者保護の観点から更新料自体が無効と判断される可能性もあります。

そう考えると、管理会社からすれば、やはり更新料は適正な金額にしておくほうが、賃貸経営の安定化という点では正解なのだと感じています。」

更新料の交渉は可能か——現場で通るケース・通らないケース

更新料の減額・免除交渉は不可能ではありませんが、現場では簡単には通りません。通りやすい条件を整理します。

交渉が通りやすいケース

  • 長期入居(5年以上)で家賃の支払い遅延がない
  • 周辺の類似物件に比べて家賃・更新料が明らかに高い
  • 物件の空室率が高く、家主が退去を避けたい状況

交渉のポイント

「更新料を下げてほしい」と直接言うより、「家賃を少し下げてもらえれば更新します」という形で家賃交渉として持ち出す方が現実的です。家主にとって更新料は一時収入ですが、家賃は毎月の収入です。どちらの調整が受け入れやすいかは物件次第ですが、家賃交渉の方が話が進みやすいケースが多い印象があります。

家賃交渉にあたっては、現在募集している同じ物件の違う部屋を参考にしてみてください。数年も経過していれば家賃が下がっていることも珍しくありません。もちろん、地価の問題や人気の物件であるなどの理由で、家賃が下がっていないどころか上がっていることもあるかもしれませんが、ほとんどのケースでは下がっていることが多いはずです。

交渉の時期は更新通知が届いてからすぐが原則です。期日直前の交渉は管理会社に余裕がなく、印象も悪くなります。

店長の独り言

「更新料の交渉が通るかどうかは、入居者と家主・管理会社の関係性によるところが大きいです。家賃の支払いが安定していて、クレームも少なく、長く住んでいる——そういう入居者に対して、家主は『出ていかれるより交渉に応じた方がいい』という合理的な判断をすることがあります。日頃の関係性が交渉に効いてきます。」

契約前に確認すべきこと——重説で見るべき箇所

更新料に関するトラブルを防ぐには、入居前の確認が最も重要です。

①重要事項説明書の「その他事項」欄
更新料の金額・算定方法・支払時期が具体的に記載されているか確認してください。「更新料あり」とだけ書かれて金額が不明確な場合は、宅建士に明示を求めてください。

②更新事務手数料の有無
更新料と別に事務手数料が発生するかどうかを確認します。両方設定されている物件は少ないですが、契約書の特約欄を確認してください。

③保証会社の更新保証料
保証会社を利用している場合、2年ごとに更新保証料が発生します。金額は1〜2万円程度が多いですが、保証会社によって異なります。

重要事項説明の全体的なチェックポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。

まとめ

更新料は法律で義務付けられたものではありませんが、契約書に記載されている以上、最高裁判決の枠組みで原則有効です。「記載がなければ払わなくていい」「記載があれば払わなければならない」——これが正確な理解です。

更新時にかかる費用は更新料だけでなく、事務手数料・保証会社更新料・火災保険更新料が同時に発生することがあります。家賃6万円の物件なら2年ごとに8〜10万円程度、月額換算で1,000〜1,500円の実質上乗せと理解しておくと資金計画が立てやすくなります。

払わずに放置するのは法定更新・契約解除リスクにつながります。異議があるなら、合意前に交渉するのが正しい順序です。

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この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計50本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

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