家主と管理会社の正しい付き合い方|良い管理会社の見極め方と「敵に回したら終わり」の理由を現役店長が解説

賃貸物件を持つオーナーにとって、管理会社との関係は収益に直結します。良い管理会社と良い関係を築けているオーナーと、そうでないオーナーとでは、空室率にも修繕コストにも明確な差が出ます。

ただ、管理会社との付き合い方について正直に書かれた記事はほとんどありません。「良い管理会社の選び方」という記事はあっても、「オーナー側の問題」や「管理会社を味方にするコツ」まで踏み込んだ内容は少ないです。

この記事では、現役の賃貸管理会社の店長として、家主と管理会社の正しい付き合い方を本音でお伝えします。耳の痛い話も含みますが、知っておくと収益が変わります。

目次

「良い管理会社」と「ダメな管理会社」の見極め方

そもそも、良い管理会社とダメな管理会社はどのようにして見極めるのがよいのでしょうか?ここでは、管理会社の良し悪しを見極めるポイントについて解説します。

工事費用が高い管理会社は要注意

管理会社を見極める最もわかりやすい指標が工事費用の水準です。

原状回復・設備修繕・リフォームなどの工事費用が相場より高い管理会社は、構造的な問題を抱えているケースが多いです。管理会社が特定の工事業者と固定の取引関係を持ち、相見積もりを取らずに発注している場合、費用は自然と高くなります。

さらに踏み込んで言うと、業界ではいまだにこういうことがあります。管理会社のマネージャーや取締役クラスが、知人からの紹介でキックバックをもらいながら、特定の業者や商品をトップダウンで会社全体に導入するケースです。オーナーが支払う工事費用の一部が、見えないところで流れている可能性があります。

付帯商品やサービスが長年変わっていない管理会社も注意が必要です。保険・鍵・設備などが特定の業者で固定化されているということは、ブラッシュアップをしていないということです。市場の変化に対応できていない管理会社は、募集活動でも同じことが起きています。

店長の独り言

「こんなに昭和のやりかたが令和でもあるのか、と驚かれるかもしれませんが、不動産業界では日常茶飯事です。

そもそも、管理会社は自社のリソースで提供できるサービスは限られています。そのため、付帯商品やサービスについては、たくさんの商材の中から良いものを選び、提供することが、管理会社のサービス品質の根幹です。

それが、このようないびつな形で選定されている、もしくは利益を重視した形で選ばれているとしたら、それはいいサービスが提供できるわけがありませんよね。

利益を追い求めることが悪いとは言いませんが、決定プロセスなどが不透明すぎると、そこで働く社員のモチベーションも下がりますし、まさに百害あって一利なし、です。」

契約前の見極めは難しい

正直に言うと、契約前に管理会社の質を完全に見極めるのは難しいです。

担当者によっても大きく差があり、良い会社でも担当者が変わると対応が変わることもあります。契約前に確認できることとしては、管理している物件の空室状況・工事費用の見積もり書の取り方・レポートの内容と頻度などがあります。

ただ、本当の実力は付き合い始めてから見えてきます。

口コミは「裏を読む」ことが重要

Googleマップなどの口コミを確認することも有効ですが、数字をそのまま鵜呑みにしてはいけません。管理会社の口コミを見るときに重要なのは、オーナーからの評価と入居者からの評価を分けて読むことです。

管理会社によっては、オーナーからの評価は高いのに入居者からの評価が低いというケースがあります。これはオーナーに依頼して意図的に点数を高く見せている、いわゆる「工作済み」の口コミである可能性があります。

そもそも管理会社はクレーム産業です。管理戸数が多ければ多いほど、入居者からのクレームや不満は比例して増えます。つまり、誠実に管理に向き合っている会社ほど入居者からの低評価がつきやすいという皮肉な構造があります。総合点が低くても、オーナー向けの対応に関するコメントの内容を丁寧に読む方が、実態に近い評価ができます。点数より中身を読む、これが口コミの正しい使い方です。

管理会社を変えるべきタイミング

管理会社を変えることへの心理的なハードルは意外と高いです。「お世話になってきたから」「繁忙期だから」「手続きが面倒そう」、そういった理由で先延ばしにしているオーナーは少なくありません。

ただ、管理会社の変更は思われているよりずっと一般的な話で、手続きも難しくありません。変えるべきタイミングと判断の基準をお伝えします。

「思い立った時が一番」

管理会社を変えるタイミングについて、「繁忙期を避けた方がいい」「お世話になった時期があるから」という理由で先延ばしにするオーナーがいます。ただ、私の経験上、先延ばしにして後で良くなったという話を聞いたことがありません。

不信感を感じた時点で変えた方がいいです。信頼関係のない相手に大切な資産の管理を任せ続けることに、合理的な理由はありません。管理会社の変更は、思われているよりよくある話です。手続きも難しくありません。

変えた方がいいサイン

  • 工事費用の見積もりが高く、根拠を説明できない
  • 空室が続いているのに募集活動の内容を報告しない
  • 入居者からのクレームへの対応が遅い・連絡がこない
  • 担当者が頻繁に変わり、引き継ぎが不十分
  • 質問や要望に対して「それは難しい」の一点張りで代替案を出さない

ひとつ注意点があります。アパート管理条件付き売却の記事でも触れましたが、管理委託契約書に「売却は当社に依頼すること」という特約が入っている場合があります。こういった特約に法的拘束力はありませんが、管理会社を変える前に契約書の内容は必ず確認してください。

オーナー側の問題|管理会社が「やりにくい」と感じる行動パターン

ここからは耳の痛い話です。管理会社との関係がうまくいかない原因が、オーナー側にあるケースは少なくない、という話です。

管理会社はオーナーの資産を預かるパートナーですが、パートナーシップは双方向です。「管理会社が悪い」と感じる前に、自分の行動を振り返ってみることも必要です。私自身、以下のようなオーナーとは管理契約をお断りしています。管理会社との関係がうまくいかない原因が、オーナー側にあるケースも少なくありません。

管理会社が断るオーナーの行動パターン

私自身、以下のようなオーナーとは管理契約をお断りしています。

お金がかかることを先延ばしにするオーナー

設備の修繕・原状回復・外壁の補修など、費用がかかることをとにかく後回しにするオーナーがいます。「まだ使える」「もう少し待って」を繰り返した結果、物件の状態が悪化して入居者がつかなくなる、あるいは入居者からのクレームが増えるという悪循環に入ります。賃貸経営はランニングコストへの投資が前提です。

マイルールで動くオーナー

法律・契約・ガイドラインより自分のルールを優先するオーナーです。「入居者に非があるから修繕費は払わない」「ガイドラインは関係ない」という発想で動かれると、管理会社として対応できません。最終的にトラブルに発展した場合、管理会社も責任を問われる立場になります。

すべての工事に相見積もりを要求するオーナー

費用を抑えたいという気持ちはわかります。ただ、賃貸管理はスピードが命です。空室が出た・設備が壊れた・入居者からクレームが来た、こういった状況で複数業者に見積もりを取って比較している時間はありません。どんな些細な修繕であっても相見積もりを必須とするオーナーとは管理契約をお断りしています。

管理会社を下に見るオーナー

言葉遣いが乱暴・要求が一方的・ハラスメントに近い言動、こういったケースはワンストライクでお断りします。管理会社とオーナーは対等なパートナーです。下請け業者として扱われる関係では、良い管理ができません。

【店長の独り言】

「管理会社を敵に回してもいいことは一つもない、というのが私の結論です。管理会社は確かにオーナーから報酬をもらっています。ただ、それは対等なビジネスの関係であって、上下関係ではありません。

居丈高に「早くつけろ、高くつけろ」と言ってくるオーナーには、正直なところ最低限のことしかしません。逆に、信頼関係があるオーナーの物件は、こちらも本気で動きます。」

良い管理会社と良い関係を築く方法

良い管理会社を選ぶことと、その会社と良い関係を築くことは別の話です。どんなに良い管理会社でも、オーナーとの関係が機能していなければ本来のパフォーマンスは発揮されません。信頼関係を積み上げるために、オーナーとして日頃からやっておくべきことをお伝えします。

定例会議が最強の武器

良い管理会社と良い関係を築くために、最も効果的なことは定例会議を設けることです。

月次レポートを送ってもらうだけでは不十分です。数字を見るだけでは見えてこない情報など、入居者の状況・近隣の競合物件の動き・今後の修繕計画は、顔を合わせて話すことで初めて共有されます。

遠方にお住まいのオーナーであれば、半年に一度のZoom面談でも十分です。大切なのは頻度より「顔を合わせて話す機会を作る」という姿勢です。管理会社側も「このオーナーはちゃんと向き合ってくれる」という認識になり、自然と対応の質が上がります。

逆に言えば、1年間一度も担当者が会いに来ない・出張すらしない、という管理会社はダメだと思っていいです。物件の状態も入居者の状況も、書面だけでは把握できないことがあります。足を運ぶ気がない背景には、担当者1人あたりの管理戸数が多すぎるという問題が隠れていることがほとんどです。

担当者1人が受け持てる戸数には限界があります。分業が進んでいる会社でも、窓口担当者としての上限は500〜800戸程度です。これを超えると、物理的に一人ひとりのオーナーに向き合う時間がなくなります。「担当者がなかなか連絡をくれない」「動きが遅い」と感じたら、担当戸数を確認してみてください。

また、最近は管理会社とのやり取りをアプリで行うケースが増えています。便利な反面、管理会社はオーナーのアプリへのログイン状況を把握しています。長期間ログインがないオーナーは「あまり関心がない」と判断されることもあります。アプリを使っている場合は、定期的にログインしてメッセージや報告を確認する習慣をつけておくことをお勧めします。

オーナーの情報を共有する

管理会社が最も助かるのは、オーナーの「賃貸経営の目標と考え方」を知ることです。

「できるだけ早く満室にしたい」「多少空室が続いても家賃は下げたくない」「10年後に売却を考えている」、こういった情報を共有することで、管理会社はオーナーの意図に沿った提案ができるようになります。何も知らない状態では、管理会社は「とりあえず標準的な対応」しかできません。

管理会社を味方にすると何が変わるか

信頼関係があるオーナーの物件に対して、管理会社が実際にやることが変わります。

空室対策という観点では、SUUMOなどのポータルサイトの特別広告枠(上位表示オプション)を使った優先掲載、仲介業者への物件案内を強化するラウンド活動の集中投下、といった対応が入ります。

「早くつけてほしい」という要望を言葉だけで伝えるのと、信頼関係のある担当者に「今月中に決めたい、何でも協力する」と伝えるのとでは、動き方が全然違います。本当に早く決まります。

管理会社との関係は収益に直結する

良い管理会社を選ぶことも重要ですが、選んだ管理会社と良い関係を築くことはそれ以上に重要です。

管理会社を変えたいと思ったら思い立った時が最善のタイミングです。ただしその前に、オーナー自身の行動を振り返ることも大切です。工事費用の承認スピード・担当者への接し方・情報の共有度——これらがオーナー側で整っていれば、管理会社は必ず動きます。

良い管理会社との関係は、空室率の改善・修繕コストの適正化・将来の売却価格にまで影響します。大切な資産を任せるパートナーとして、対等な信頼関係を築いてください。

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この記事を書いた人:不動産会社店長

業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。

不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。

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