
「管理会社に任せているのに、空室が増えるばかりで何の提案もない」
「親からアパートを引き継いだが、古すぎてどう手をつけていいか分からない」
こうしたご相談が、筑後・柳川・みやま・八女エリアでも増えています。
先日、八女市内にある古いアパートについてご相談をいただきました。非常に典型的かつ深刻なお悩みでしたので、個人が特定されない範囲で内容を整理し、現場の課題をどう分解し、どのような選択肢(出口)を提示したのかを分かりやすくご紹介します。
なお、この記事で一番伝えたいことは、立地や築年数、間取りなどさまざまな悪条件が賃貸物件にはつきまといますが、それは絶対的な問題ではありません。その課題を解決するためのパートナー、つまり管理会社にこそ問題があると考えるべき、ということです。
なぜ「管理が完全に止まってしまった」のか
ご相談いただいたのは、ご高齢のオーナー様が所有する物件です。すでに家族信託を結ばれており、実質的な管理判断はご家族(お子様世代)が引き継いでおられましたが、「親の意向も尊重しながら、一番手残りの良い着地点を探したい」というご意向でした。
このアパートが空室6割に陥った最大の原因は、「築年数が古いから」でも「八女市の賃貸需要が落ちたから」でもありません。
現地を精査して分かったのは、「物件の価値を引き出すための提案や施策が、管理会社から何ひとつ講じられていなかったこと」でした。
- 立地の強みを完全に殺していた
南側は交通量の多い幹線道路に面しており、本来であれば看板効果や出入りのしやすさで入居者を惹きつけられる一等地です。ところが、その南側がコンクリートブロックで完全に塞がれ、通りからはアパートの存在すら認識できませんでした。「ブロックを一部撤去して出入り口と駐車場を作る」という初歩的な改善提案すら、管理会社から一度も出されていませんでした。 - 初期ハードルの放置(においと衛生環境)
井戸水・汲み取り式という設備自体は築古ならあり得ることですが、問題は「共用廊下に汚水のにおいが充満していたこと」です。内見者が来た瞬間に逃げ出す原因を把握しながら、点検や消臭、簡易水洗化などの改善案を提示せず、ただ「決まらない」と放置していました。おそらく、管理会社の担当者は現地に赴いたことすらないのでしょう。 - 手詰まりではなく「無策」だった
退去が出ても原状回復工事を行わず、募集図面をネットに載せることもない。外壁にはチョーキング(塗膜が劣化して白い粉が出る現象)が出たままでした。つまり、物件が悪いのではなく、管理会社が物件のポテンシャルを殺したまま思考停止していたことが、空室6割という事態の本質でした。
【店長の独り言】
「現地を見て真っ先に感じたのは、『管理会社は何をしていたんだろう』という疑問でした。空室が6割で募集も止まっているなら、実質的に放置と同じです。
ただ、高齢のオーナー様だと『修繕の提案をしても費用を嫌がられて話が進まない』というケースも多く、管理会社側も手が止まってしまった経緯があるのかもしれません。
幸い今回は家族信託が組まれており、次の世代のご家族が動ける状態でした。『二束三文で投げる前に、やれる手を尽くしたい』という思いに、プロとしてどう応えるかが腕の見せ所です。」
300万円で即買い取るか、手を加えて再生させるか
問題点を洗い出した後、私たちはまず「現状のまま、当社で300万円で買い取る」という案を検討しました。
なぜ300万円という数字になるかというと、将来的に解体して更地にする費用(数百万円)や、汲み取り・長期空室のまま抱えるリスクを差し引くと、不動産業者の仕入れ価格としてはそれが妥当な相場ラインになるためです。
しかし、立ち止まって考えました。
この物件は、致命的に立地が悪いわけではありません。むしろ、手を入れるポイントが明確です。
- 南側のブロック塀を撤去すれば、通りからの視認性が一気に上がる
- 敷地を整地して駐車場を確保すれば、車社会の八女市では強い武器になる
- 外壁塗装とにおい対策を行い、募集を再開すれば部屋は埋まる
部屋が埋まって家賃収入がしっかり入る状態(強いレントロール)を作ってから売却した方が、リフォーム費用を差し引いても、オーナー様の手元に残るお金はずっと多くなるのではないか。
そう判断し、「安く手放す」以外の道も含めた4つの選択肢をご提案しました。
提示した4つの出口戦略
物件の出口は、「今すぐ手放す(売却)」か「直してから考える(再生)」かの2本軸に分かれます。ご家族の資金事情や手間に合わせて選べるよう、以下の4案に整理しました。
- 選択肢①:現状のまま即時売却する(手離れ優先)
再生に費用や時間をかけず、今の状態のまま買い取ってもらう方法です。手取り額は低くなりますが、今後の修繕負担や解体リスク、管理の手間から今すぐ解放されます。 - 選択肢②:サブリース(一括借り上げ)で、室内の改修費を会社側に持たせる(初期費用を抑える)
管理会社が建物を借り上げ、室内の修繕・リフォーム費用は管理会社側が負担する方法です(外壁等はオーナー負担)。毎月の保証家賃は一般のサブリース相場より低めになりますが、オーナー様の手出しを最小限に抑えながら、建物の状態を中長期の時間をかけて、きれいに立て直せます。 - 選択肢③:一般管理に切り替え、オーナー費用で段階的に直す(長期保有)
管理会社をやる気のある会社へ変え、オーナー費用でブロック撤去・駐車場整備・外壁塗装を実施する方法です。費用はかかりますが、満室稼働に戻せば、将来にわたって安定した家賃収入を家族に残せます。 - 選択肢④:再生させて満室にした後、投資家へ売却する(手残り金の最大化)
選択肢②や③の手法でまず物件を満室(または高稼働)に仕上げ、その後に「利回りの良い収益物件」として市場の投資家へ売却する方法です。一番時間はかかりますが、300万円で即売却するよりも、最終的に手元に残る現金を最も大きくできる可能性があります。
放置された築古アパートに見られる「管理不全の4大兆候」
なぜ、ここまで放置されるアパートが筑後エリアで後を絶たないのでしょうか。
それは多くのオーナーが「不動産会社なら、どこでも賃貸管理のプロだろう」と誤解しているからです。
実態として、不動産会社がすべて賃貸管理業務に精通しているわけではありません。業界の内側から見ると、放置アパートを生み出す管理会社には2つの典型的なパターンが存在します。
- パターンA:管理料目当ての「名ばかり管理会社」
ノウハウも専任スタッフも持たず、「毎月数千円の管理料がチャリンと入るから」という理由だけで受託している会社です。空室を埋めるためのマーケティング力やリフォーム提案力がないため、入居者が抜けても「古いから決まりませんね」と言い訳するだけで何も手を打ちません。 - パターンB:将来の買いたたきを狙う「売買屋の意図的放置」
さらに悪質なケースとして、本業が売買仲介や買取の不動産会社が管理を引き受けている場合です。彼らにとって、物件が再生されて満室稼働を続けるメリットはありません。あえて空室を増やしてオーナーを困窮させ、「もう維持費も払えないから手放したい」と心が折れたタイミングで、二束三文で安く買いたたく(または自社で安値買取する)という出口を最初から狙っている会社すら存在します。
以下の兆候がひとつでも当てはまるなら、その会社はあなたの資産を守るパートナーではなく、資産価値を削るリスク要因になっている可能性があります。
- 退去が出ても、リフォームの見積もりや募集開始の報告が数ヶ月上がってこない
- 「家賃を下げる」以外の具体的な空室対策(設備追加、外観改善など)の提案がない
- 管理会社からの定期的な連絡がなく、オーナーから電話しないと現状が分からない
- 「古いから売るしかありませんね」と、やたらと安値での売却や買取ばかり勧めてくる
賃貸物件の価値は管理会社で決まる
築年数が古く、問題がいくつも重なっているアパートであっても、「現状のどこがボトルネックになっているのか」を論理的に整理すれば、必ず複数の解決策が見えてきます。
即座に安値で売却するのが正解なのか、少し手を入れてから動かすのが正解なのかは、物件の立地やご家族の意向によって全く異なります。
八女市・筑後市・みやま市・柳川市などで、「親のアパートが空室だらけで困っている」「今の管理会社から何の提案もなくて不安だ」という方は、現状のままで構いませんので、まずは当サイトの相談窓口よりお気軽にご相談ください。
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この記事を書いた人:不動産会社店長
業界歴20年以上の現役店長。現場の第一線で培った知見を活かし、大手不動産メディアにて累計100本以上の専門記事を執筆中。 業界の表も裏も知り尽くした「不動産のプロ」として、不動産会社の不都合な真実を伝えます。
不動産・建築の専門家として、以下の大手メディアにて2026年現在も継続的に執筆・監修を行っています。
- 東急リバブル(LIVABLE タイムズ):法人・投資家向けのCRE戦略や空き家対策記事を20本以上寄稿
- ハウスコム(暮らしエイト):宅建士の視点から賃貸トラブル解決法を30本以上執筆
- CHINTAI(CHINTAI情報局):現場を知る店長としてお悩み解決記事を連載中
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